後継者にまつわる小説あれこれ(その12)

司法書士の木村貴裕です。

小説は気軽に読めて、でも何か気づきを得たり、力がわいてくることってありますよね。

ほんの少しでも何か感じてもらえそうなものをこれから少しずつ紹介したいと思います。

後継者の学校パートナーブログですので、もちろん後継者や事業承継に関するものを。

 

後継者の学校パートナーで司法書士の木村貴裕です。

私は通勤時間をもっぱら読書にあてております。

地下鉄なので外の景色を眺めても面白くもなんともないという理由もありますが。

 

経営書ではなくあまり肩のこらない小説ばかりなのですが、結構事業承継にからむ話もあります。

後継者や後継者候補の方に何か少しでも感じてもらえるものがあればと思い、今まで読んだ中から、後継者や事業承継に関係するものを何冊か紹介します。

 

今回紹介するのは、

 

「ローカル線で行こう!」真保裕一 著(講談社)

 

赤字ローカル線の再生を託されたのは、地元出身の新幹線カリスマ・アテンダント というお話し。

帯に、読めば元気が出てくる痛快鉄道再生ミステリー とあります。

はい、確かに元気がでます。

 

運行本数も減らし、社員を半数近くまで人員整理をしてなお走れば走るほど赤字がかさむ状態。

経営陣にそっぽを向く、というより皆がてんでばらばらの方向を向いているような社員、社内の覇気のなさ、風紀の乱れ。

なかなか厳しい状態です。

 

そんな状況から、新社長が、持ち前の知恵と度胸で社内を活気づかせていきます。

 

打ち手はそれほど目新しいとは言えないものですが、明るく前向きに取り組み、副社長や社員ひいては地域まで巻き込んで、やがて皆が同じ方向を向いて進んで行こうという雰囲気になっていきます。

 

つい最近、現実に業績を伸ばしている社長の話を伺う機会がありましたが、一つ一つのことに気を遣い、一つ一つのことをきちんと積み重ねていく、もしかしたらその一つ一つの打ち手はそれほど目新しいことではないのかもしれませんが、それを丁寧に継続していくというのはなかなかできることではありません。

 

それどこかで聞いたことがあるよ、ということでも実際に取り入れ継続していくのは難しい。

そういうことができるかどうかが大きな差になるのだと痛感しました。

 

後継者経営でも必要な自社の強みの再確認、小説では今までもうひとつ生かせていなかった沿線や社員の良さを見いだしあるいは再確認し、それを強みに変えたりして、盛り立てていきます。

 

色々取り上げたい箇所があるのですが、もう一つだけ。

 

新社長に就任する際に、異例人事に納得のいかない株主を前に、5ヶ月で結果がでなければ首を切ってもらって結構という啖呵を切ります。

 

経営者である取締役は、会社所有者である株主に自分を選んでもらわなければなりません。

株式会社では当たり前の構図なのですが、現実の後継者や後継者候補には株主と取締役の違いが今ひとつわかっていない方がいらっしゃいます。

 

これもつい最近あった現実の話なのですが、代表取締役になればそれで会社のことを全て自由に出来る、自分のものになると考えていらっしゃる方がいました。

株式に関しては全く気にしていない様子。

 

そもそもご自身を経営者に選ぶ権限がご自身にあるかどうかもわからないのに、そして、経営者になったとしても首を切られる可能性があるなんてことをこれっぽっちも心配している様子も感じられない。

 

業績が上がらなければ首を切ってもらって構わないと主人公は言いますが、現実に起きたらたまったものではありませんよね。

株式を掌握していないというのは、そういう危険性があるということです。

もっと言えば、収益があがる仕組み作りができたとたん首を切られる可能性もあります。

そんな状態で力が発揮できる人は少ないのではないでしょうか。

 

小説の主人公は、実は二人。

先ほど紹介した新幹線アテンダントの新社長(女性)と、出向してきている県庁職員の副社長(男性)。

 

副社長の変化なども楽しめます。

 

後継者の学校では、後継者や後継者候補のために、自社の客観視や統治基盤など事業承継に関する幅広い内容のプログラムを用意しています。

 

ご興味のある方は、一度ご連絡下さい。

 

先に紹介したように痛快鉄道再生ミステリーとありますが、それはどんな内容かは読んでからのお楽しみとしておきましょう。

 

この話が少しでも何かのきっかけになれば幸いです。

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