後継者の学校パートナー中小企業診断士の岡部眞明です。
神奈川県の障碍者施設で元職員が入所者を大量に殺傷するという大きな事件が発生しました。「障がい者の未来とは、いったい何だ。」「障がい者を抱える家族は不幸だ。」事件後、報道が伝える犯人の言葉です。確かに、「私は、常に社会的的弱者の見方です。」と声高に叫んでいれば答えがでるというような単純な問題ではありません。「人として生きる」ということの本質にかかってくる大きな問題だと思います。
私は、学生運動に挫折して精神病院でアルバイトをしていた時期がありました。若くて体力があると思われたのか、患者さんの状態が大きく悪化したとき、薬物中毒の禁断状態のときなどに収容する病室や今でいう認知症が悪化した方の病室を担当していました。
当時は、いろいろな原因で、知的な発達が遅れた患者さんもいました。確かに、この人はこの先生きていてどうなるのだろうか、とか、たまに見舞いに来られるご両親の苦労を考えることもあった一方で、こちらの言うことを理解してくれないいらだちも感じたことを思い出します。
5年以上前に、近所の公民館でみた映画のお話をしたいと思います。内容はほとんど忘れてしまったのですが、かすかに残っていた記憶をネット検索で補強したその映画を紹介します。その映画は「1/4の奇跡」。主人公は「かっこちゃん」という養護学校の先生です。そして、もう一人の主人公は、多発性硬化症という難病の「雪絵ちゃん」。映画のタイトルになったのは、かっこちゃんが雪絵ちゃんに話したうれしくなるお話です。
そのお話の内容はこのようなものです。
マラリアは致死率が高い病気です。アフリカでマラリアが大流行したことがあったそうです。ある村では、多く人がマラリアにかかり絶滅の危機に瀕します。しかし、中にマラリアにかからない人がいたそうです。何故か?答えは、遺伝子にあったのです。
「赤血球」といえば、丸くて平べったい形を穴の開いていないドーナッツ形を思い出しますが、このマラリアにかからない人たちは鍵型をした赤血球(鎌状赤血球)をつくる遺伝子を持っていたというのです。
鎌状赤血球つくる遺伝子はマラリアに対する耐性を持つことが分かったのです。
しかし、この遺伝子は鎌状赤血球貧血症という、ときには死に至る重い障がいをもたらすことがあります。そして、その確率が1/4だそうです。しかし、この遺伝子がなければ、その村はマラリアで絶滅していたかもしれません。障がいを引き受けてくれた1/4の人が繋いだ遺伝子が、残りの3/4の人をマラリアから守り、障がいの発症からも守ってくれたというわけです。
雪絵ちゃんは、この話を聞いて「こんないい話を、私たちだけが知っているのはもったいない。障がいを持つ人も、そうでない人もみんな必要とされているんだ、科学的にも証明されているんだということをみんなに話してほしい。」とかっこちゃんに頼みます。
雪絵ちゃんは残念ながらなくなってしましますが、雪絵ちゃんとの約束を果たすために、鎌状赤血球や障がいのはなしをする活動を頑張っています。
雪絵ちゃんは、「みんなが違って大切な存在なんだということを、世界中の人が当たり前に知っている世の中にして」と頼んでいます。
・・・
そうですよね。みんなが違っている。障害のある人は障がいのない人とは違っているし、男の人と女の人も違っています。私はあなたではないし、彼と彼女も違っています。当たり前。そして、違った人同士が、怒り、泣き、笑い、嫉妬し、時には喧嘩してそれでも生きていく、そのこと自体に意義があり、人生の深みや社会のつながりが生まれてくるのではないでしょうか。
会社も小さな社会です。互いが違いを理解し合う(喧嘩もできるくらい)組織ができると強く気づきのある会社ができるのではないでしょうか。
後継者は経営者とは違う個性を持っています。
従業員もまた、違う個性を持っています。
たくさんの個性の集まりが会社とするならば、
あなたはこの事件から何を学びますか?
後継者の学校では見学も随時受け付けています。
後継者の学校
http://school-k.jp/