実録 事業承継~社員の気持ち②~

中小企業の事業承継において、最も一般的な親から子への承継。株の引き継ぎがスムーズであることや周囲の納得感が得られやすいなど、メリットはたくさんあります。

しかし一方で、親子とはいえ、全く異なる考え方を持った後継者が社長になり、組織をまとめていくのは簡単なことではありません。後継者が事業承継のタイミングでするべきことをしっかりすれば、必ず強い組織になるのです。

後継者が組織をまとめていくときに立ちはだかる壁がいくつかあります。その一つが古参社員との関係です。

 

後継者の学校大阪校を担当しております税理士の河合です。

中小企業の事業承継は、M&Aなど様々な取り組みが活発になってきていますが、やはり親から子へと引き継がれる場合が多いです。大切に我が子のように、あるいはそれ以上の想いで育ててきた会社を引き継いでもらうのは、他人よりも我が子であるほうが嬉しいという親の心情もありますが、株の引継がスムーズにできること、社員のなかからの登用よりも社員から納得感が得やすいことなどが、その理由として挙げられます。

しかし、実際現場に入ってみると、古参社員との軋轢、先代が採用した社員と後継者が採用した社員の間の考え方の違いなどなど、泥臭い人間関係の中にどっぷり浸かり、疲れ切ってしまう後継者も少なくありません。

 

後継者と古参社員との間に軋轢が生まれやすいのは何故か

古参社員という言葉にどんなイメージを持たれますか?言い換えるとベテラン社員、古株など「頼れる存在」というイメージもあれば、「変化に抵抗する勢力」というイメージを持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?後継者にとってみれば、子供のころから自分の事を知っているため頭の上がらない、少し煙たい存在という場合も多く見うけられます。

後継者が親の会社に入る際には、100%継ぐと決まっているわけではなくても自分なりに決意をして入社するという場合もあれば、親に言われて仕方なく入社する、周りの雰囲気を感じて何となく入社するといった具合に色々なパターンがあります。いずれにしても、周りの目、後継者自身の意識などから、元々何の関係もない会社に就職するのとは全く異なる立場で入社することになります。

その違いは一般的な就職と比較するとよくわかります。通常、就職する際には、面接を受けたり、同業他社も含めて会社のことを調べたり、入社した場合の自分の将来像を描いたりというプロセスを経て、自分で納得して入社します。このプロセスは古参社員も経験しています。そして、社内で様々な教育を受け、仕事も覚え、同僚や上司との関係性を深める中で立場も確立し、この会社で働いていて良かった(良かったとまではいかなくても、少なくとも悪くない)と感じています。時間をかけて会社のカラーに染まっていくのです。

でも、後継者は違います。後継者はいずれ自分が経営するかもしれないという目で、様々なものを見て考えます。しっかり考えれば考えるほど、これまでのやり方が古いと感じたり違和感があったりと、色々変革したいと思うようになることも多いでしょう。そんな変革を進めていこうとする後継者の姿は、古参社員にはどのように映るでしょうか?

入社以来、時間をかけて馴染んできた組織が大きく変わってしまうことに、誰でも多かれ少なかれ不安を感じるというのは良く理解できます。それは、変化した後会社がどのようになるのか分からないという不安、先代に対して抱いている尊敬の念が踏みにじられたように感じる瞬間の怒りなどなど、様々な気持ちが交錯して、素直に改革に協力的になれなかったりするのです。

後継者は、その気持ちを理解するところから始めなければなりません。この視点が抜けてしまうと、組織をまとめていくのにかなり遠回りをしてしまうことになるかもしれません。

 

後継者の学校では、このようなテクニックではなく押さえるべきポイントをしっかり理解し、実践に移していただける仕組みがたくさん入っています。

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