後継者の学校パートナー、中小企業診断士の岡部眞明です。
先日、安倍総理が消費税の10%への増税時期を平成31年10月までの再延期を発表しました。
今回の措置には、「財政再建が難しくなるのでは」とか「デフレ脱却のために増税はしない方が良い」など、賛成、反対の意見が多くでました。
今回は、税金と経済について考えてみます。
私たちの経済活動の大きさを量るときよく使うのは、国民総生産(GNP)があります。GNPはとは、私たちの経済活動で創り出された価値の合計のことです。
式で表すと、
Y=C+I+G+MX・・・①
(Y:国民総生産、C:消費、I:投資、G:政府支出、MX:貿易)
となります。
これは、国民総生産をその需要の面からみたもので、国民総生産は、支出と投資、政府の支出、貿易の大きさに左右されることを表しています。
さらに、私たちにかかわる消費をもう少し詳しく見ると、
C=C0+C1(Y-T)・・・②
(C0:基礎消費、C1:限界消費性向(0<C1<1)、T:税)
私たちは、一般的に収入が多い方がたくさん消費すると考えられますが、基礎消費とは収入に関係なく生きていくためにどうしても必要となる支出のことです。また、限界消費性向とは所得が「1」増えたときに、そのうち消費にまわす割合のことです。
ということで、この式は、私たちの消費のための支出は、基礎消費と、所得から税金を引いたものに、限界消費性向を掛けたものとなるということを表します。
両方の式を合わせると、
Y= C0+C1(Y-T) +I+G+EX-IM
となりますが、Yが両方にありますので、これをまとめると
(1-C1)Y= C0-C1T+I+G+MX
となります。
ここで、税金を⊿Tだけ挙げて、それを政府が⊿Gだけ使う場合に(他の投資(I)と貿易(MX)は変わらないと仮定します。)に変化する国民総生産を⊿Yとすると、基礎消費(C0)は変わらないはずですから、③の式は
となります。
ここで、限界消費性向(C1)が0.5のとき、減税(増税)を100した場合、国民総生産(⊿Y)の値は、100だけ増加(減少)させることができます。
同様に、政府支出を100だけ行った場合は、
これは、減税よりも予算を使った財政出動の方が、国民総生産に与える影響が大きい、つまり景気刺激効果があるということを表しています。これが、国が不景気になると補正予算で景気をあげようとする理由です。
勿論、経済はこんな式だけで割り切れる単純なものではありませんし、財政赤字の問題もあります。この話の過程でも、限界消費性向が他の要素に影響を与えることは③の式から明らかです。
頭の整理になったでしょうか?
いずれにしろ、安倍総理の判断が正しいことを祈るばかりです。
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