キャッシュフロー計算書は、会社のキャッシュが増えたか減ったか、その増減した理由は何なのかを表したものです。
事業承継をするにあたり、後継者の方は自社のキャッシュフロー計算書がどのようになっているか、把握しておきたいところです。
後継者の学校パートナーで、公認会計士・税理士・中小企業診断士の福岡です。
前回まで損益計算書、貸借対照表についてお話ししてきましたので、今回はキャッシュフロー計算書についてお話しします。
キャッシュフロー計算書は、会社のキャッシュの流れを表したもので、1年間でキャッシュが増えたのか減ったのか、その増減した理由が何なのか?を表したものです。
損益計算書と何が違うのか?とお思いになる方もいらっしゃるかもしれませんが、損益計算書とキャッシュフロー計算書は似て非なるものです。損益計算書は、収益と費用との差額で利益を出しているのに対し、キャッシュフロー計算書はキャッシュの動きを表しているのです。
例えば、200万円の車を購入した場合、原則として200万円をそのまま費用にすることはできず、一定期間をかけて徐々に費用としていきます。そのため、損益計算書上は費用200万円とはなりません。他方、200万円が出て行っていることは事実ですので、キャッシュフローは▲200万円となり、損益計算書とキャッシュフロー計算書の間で差が生じることになるのです。
借入金も同様です。借入金を返済した場合、単に債務を返済しただけなので、損益計算書上では費用として現れてきませんが、お金を返しているので、キャッシュフロー計算書上は借入金を返した分だけマイナスとなるのです。
黒字倒産という言葉を耳にされた方もいらっしゃるかもしれません。
黒字倒産とは、損益計算書上では利益が出ているにも関わらず、キャッシュがなくなって倒産してしまったことを言います。まさに損益計算書とキャッシュフロー計算書の違いから生じる落とし穴ですね。
それでは、キャッシュフロー計算書の見るポイントをお伝えしますので、キャッシュフロー計算書をご準備下さい。
(キャッシュフロー計算書は貸借対照表、損益計算書と違い、作成されていない場合もあります。その際は、顧問税理士さん等に作成できないか、相談してみて下さい。)
キャッシュフロー計算書の一番下に、期末時点キャッシュの残高が載っていて、その2行ほど上に1年間でのキャッシュの増減額が記載されています。まず、ここを見ると1年間でキャッシュが増えたか減ったか把握できます。
次に、キャッシュフロー計算書は上から① 営業活動によるキャッシュフロー、② 投資活動によるキャッシュフロー、③ 財務活動によるキャッシュフローに区分されているのをご確認下さい。この①~③を合計すると、1年間のキャッシュの増減額と一致します。
つまり、キャッシュが増減した理由は、①~③に分けて分析ができるのです。
①は、営業活動を行うことによって獲得されたキャッシュを表しており、ここがプラスであれば営業活動を行ったことでキャッシュを獲得できたことを表しています。②は設備投資等によって使われたキャッシュであり、設備投資を行えばキャッシュはマイナスになり、設備を売却したのであればキャッシュはプラスになります。③はお金を借りたのであればキャッシュがプラスになり、返済したのであればキャッシュはマイナスになります。
①はプラスになっていることが良い状態でありますが、②、③は会社のおかれた状況によってプラスがいいのかマイナスがいいのか異なります。ただ、言えることは①はプラスで、かつ①~③を合計したらプラスになっているのが、望ましい状態でしょう。
このように自社のキャッシュの状況がどのようになっているかを把握し、今後、どのようにキャッシュを増やしていくかを検討することは、後継者の方が事業承継を行っていくにあたり大切なことだと思います。そのため、キャッシュフロー計算書をご覧になったことがない方は、是非、一度お手にとって見てみて下さい。
後継の学校でも、キャッシュフロー計算書を読むポイントについてご説明していますので、仲間と一緒に学習したい方は、是非、後継者の学校にもご参加下さい!
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