後継者の学校パートナー、中小企業診断士の岡部眞明です。
トランプ大統領が就任しました。就任直後から大統領令を連発、20本以上に上っています。イスラム教国からの入国の制限につては、またの機会に(この大統領は、人や社会についていろいろなことを考えさせてくれる、とても良い方?ですね。)に譲るとして、今回は、「TPPからの永遠に離脱」という大統領令に関連して、「貿易って何故するのか?」を考えてみたいと思います。
何故貿易をするのか。世界的に貿易という概念芽生えたのは、コロンブスに象徴される大航海時代ではないでしょうか。出資者の委任を受けて未知の世界の未知の品物(この場合は、香料でした。)を仕入れて、本国で莫大な利益を得て、出資者へ還元する。
このころの貿易は、マルコポーロの時代と大差はなく、貿易というより冒険の域を出ていなかったのかもしれません。国家間の貿易を論じたのは、リカードという18世紀イギリスの経済学者です。その考え方は次のようなものです。
J国とA国の場合を考えます。
J国で、米100tを生産するには10人を必要とします。A国では、同じ米を100tするためには15人が必要です。自動車の生産では、1台につきJ国で5人、A国で10人をそれぞれ必要とします。
その場合、米1000t、自動車10台をそれぞれの国で生産すると次のようになります。
米 | 自 動 車 | |
J国 | 100t(10人)×10=1000t(100人) | 1台(5人)×10=10台(50人) |
A国 | 100t(15人)×10=1000t(150人) | 1台(10人)×10=10台(100人) |
計 | 2000t(250人) | 20台(150人) |
この場合、J国で必要とされる人数は、米で100人、自動車で50人(合計150人)、A国では、それぞれ150人と100人(合計250人)で、J国の方がどちらもA国より効率的に生産できます。
次に、それぞれの国内を見ると、J国では、米:自動車=100人:50人で、A国内では、米:自動車=150人:100人となり、A国では自動車より米の生産の方が効率が良いことがわかります。
そこで、J国では自動車、A国では米をそれぞれ両国の合計だけ生産することにします。
すると、以下のようになります。
米 | 自 動 車 | |
J国 | 0t(10人)×10=0t(0人) | 1台(5人)×30=30台(150人) |
A国 | 100t(15人)×250/15=2500t
(250人) |
0台(10人)×10=0台(0人) |
計 | 2500t(250人) | 30台(150人) |
お分かりのように、J国、A国の2国で生産される米、自動車ともに増えました。
互いに比較的効率のよいものを生産して、お互いに融通し合うとより効率的になり、価格も下がりやすく、豊かな生活がおくれるというわけです。
これが、比較優位論と言われ自由貿易の考え方の基本とされています。
もちろん、国家間の貿易は経済的理由だけで行われるものではありません。米のような農産物は土地がなければ生産できませんし、土地は国土を形成します、国土は国の基本ですし、私達の生活する環境を形作る根本です。また、米をはじめとする農産物は私たちの食糧ですから、輸入に過度に依存すると、大干ばつや戦争(自国が戦争しなくても、生産国に戦火が及ぶこともあります。)の時には、食べ物がないという事態に陥ります。数年前、アメリカでバイオ燃料に着目されたとき、アメリカの大豆農家が原材料のトウモロコシに転換し、日本の豆腐生産に大きな影響を及ぼしたことがありました。
自動車などの工業製品についても、生産がすべて他国になってしまうと失業の問題が発生します。効率性だけを追求すると、賃金の安い途上国への雇用の流出と先進国における製造業の空洞化といった問題を招く結果になっています。トランプ大統領が雇用を呼び戻すといっているのは主にこのことですね。
一方で、1929年の大恐慌をニューデイル政策で雇用創出したルーズベルト大統領をはじめ、イギリス、フランスのブロック経済という保護主義政策が第2次世界大戦を招いたといわれています。
ところで、この比較優位論、何をやってもダメな僕と、何でもテキパキこなす山田さん。
僕が何とかこなせる伝票整理と、山田さんが得意な企画書づくりに当てはめると・・・。
うちの会社でも、使えそうな気が・・・。
(中小企業診断士 岡部 眞明)
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