後継者の学校パートナー中小企業診断士の岡部眞明です。
森友学園を巡る国の補助金を不正受給したとして、逮捕された籠池夫妻が、大阪府の補助金の不正受給で再逮捕されました。罪状は、どちらも詐欺罪だとのことです。
詐欺罪は、刑法に定めがあり、ご存じのように刑事罰が科せられます。
(刑法第246条)
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
人をだまして、お金を手に入れたのですあれば、詐欺罪罰せられて当然ですよね。
ご本人たちの群を抜いたユニークさ?はともかくとして、私たちがお世話になる補助金の使い方を「罰則」という切り口から考えてみるのも経営者として必要なことです。
籠池夫妻の場合は、「詐欺」という刑法に定める罪ですが、経営の現場でお世話になる「ものづくり補助金」(革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金)や「持続化補助金」(小規模事業者持続化補助金)などの国の補助金制度を規定する「補助金適正化法」(補助金等にかかる予算の執行の適正化に関する法律)にも、籠池夫妻のような(というより、詐欺とまでは言えないような)不正を罰する規定があるのをご存じでしょうか。
そのうち、特に私たちに関係がありそうなものを見てみましょう。
第29条 偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は、五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の場合において、情を知つて交付又は融通をした者も、また同項と同様とする。
量刑は、5年と刑法よりは軽いですが、罰金百万円も合わせて課せられる可能性もありますし、不正を見逃した方も罰せられる可能性があるのです。(役人が厳しいのも理由がないわけではないんですね)
罰則規定は次の条文にも、
第30条 第11条の規定に違反して補助金等の他の用途への使用又は間接補助金等の他の用途への使用をした者は、三年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
とあります。第11条は、「目的以外に使ってはいけない」と規定されています(長いので引用はやめておきます)。すなはち、目的以外のものに使うと、懲役3年、罰金50万円なのです。
次は、
第31条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第13条第2項の規定による命令に違反した者
二 法令に違反して補助事業等の成果の報告をしなかつた者
三 第23条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者
なんか軽い感じですね。3万円の罰金ですから・・・。でも、念のため、第1号にかいてある第13条を確認すると、
第13条 各省各庁の長は、補助事業者等が提出する報告等により、その者の補助事業等が補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件に従つて遂行されていないと認めるときは、その者に対し、これらに従つて当該補助事業等を遂行すべきことを命ずることができる。
2 各省各庁の長は、補助事業者等が前項の命令に違反したときは、その者に対し、当該補助事業等の遂行の一時停止を命ずることができる。
となっていいて、きちんと事業を進めていなかったら、補助金の執行停止を命令するし、それでも聞かなかったら罰金ですよということですし、第2号、第3号は、報告書をキチンと出さなかったり補助金の調査に非協力的だったりした場合も罰金ですということを言っているわけでして、結構厳しい罰則が用意されているんです。
このほかにも、この法律には罰則が続いていますが、県や市町村から交付される補助金ももともとの財源が国の補助金である場合がほとんどですから、皆さんは間接補助事業者としてこの法律の縛りを受けることになります。
補助金の申請や交付の段階で、籠池さんのように大胆に振舞える大物?はそう多くはありませんが、事業が終わったときの説明が十分でなかったり、事業の成果と補助目的との関係がうまく説明できなかったりすることは、起こりうることです。罰金とまではいかなくとも、最終的に補助金返還や経費の一部や全部が補助目的にそぐわないとの判定がくだされて、結局、補助金が下りなかったということもあるのです。お金を使ってしまった後に、あてにしていたお金が来ない、つまり、結局、すべて自腹ということです。
「創業・事業承継補助金」もそうですが、補助金を上手に活用するには、補助目的との整合を考えたり、上手に説明したりと経験やノウハウの必要になったりするのです。
このような時流の事も押さえつつ
事業承継においては
本質的なことをしっかりと押さえておかなければ
大火傷をします。
大切なことは後継者の学校で。