カテゴリー別アーカイブ: 人・組織・風土

実録 事業承継~社員の気持ち②~

中小企業の事業承継において、最も一般的な親から子への承継。株の引き継ぎがスムーズであることや周囲の納得感が得られやすいなど、メリットはたくさんあります。

しかし一方で、親子とはいえ、全く異なる考え方を持った後継者が社長になり、組織をまとめていくのは簡単なことではありません。後継者が事業承継のタイミングでするべきことをしっかりすれば、必ず強い組織になるのです。

後継者が組織をまとめていくときに立ちはだかる壁がいくつかあります。その一つが古参社員との関係です。

 

後継者の学校大阪校を担当しております税理士の河合です。

中小企業の事業承継は、M&Aなど様々な取り組みが活発になってきていますが、やはり親から子へと引き継がれる場合が多いです。大切に我が子のように、あるいはそれ以上の想いで育ててきた会社を引き継いでもらうのは、他人よりも我が子であるほうが嬉しいという親の心情もありますが、株の引継がスムーズにできること、社員のなかからの登用よりも社員から納得感が得やすいことなどが、その理由として挙げられます。

しかし、実際現場に入ってみると、古参社員との軋轢、先代が採用した社員と後継者が採用した社員の間の考え方の違いなどなど、泥臭い人間関係の中にどっぷり浸かり、疲れ切ってしまう後継者も少なくありません。

 

後継者と古参社員との間に軋轢が生まれやすいのは何故か

古参社員という言葉にどんなイメージを持たれますか?言い換えるとベテラン社員、古株など「頼れる存在」というイメージもあれば、「変化に抵抗する勢力」というイメージを持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?後継者にとってみれば、子供のころから自分の事を知っているため頭の上がらない、少し煙たい存在という場合も多く見うけられます。

後継者が親の会社に入る際には、100%継ぐと決まっているわけではなくても自分なりに決意をして入社するという場合もあれば、親に言われて仕方なく入社する、周りの雰囲気を感じて何となく入社するといった具合に色々なパターンがあります。いずれにしても、周りの目、後継者自身の意識などから、元々何の関係もない会社に就職するのとは全く異なる立場で入社することになります。

その違いは一般的な就職と比較するとよくわかります。通常、就職する際には、面接を受けたり、同業他社も含めて会社のことを調べたり、入社した場合の自分の将来像を描いたりというプロセスを経て、自分で納得して入社します。このプロセスは古参社員も経験しています。そして、社内で様々な教育を受け、仕事も覚え、同僚や上司との関係性を深める中で立場も確立し、この会社で働いていて良かった(良かったとまではいかなくても、少なくとも悪くない)と感じています。時間をかけて会社のカラーに染まっていくのです。

でも、後継者は違います。後継者はいずれ自分が経営するかもしれないという目で、様々なものを見て考えます。しっかり考えれば考えるほど、これまでのやり方が古いと感じたり違和感があったりと、色々変革したいと思うようになることも多いでしょう。そんな変革を進めていこうとする後継者の姿は、古参社員にはどのように映るでしょうか?

入社以来、時間をかけて馴染んできた組織が大きく変わってしまうことに、誰でも多かれ少なかれ不安を感じるというのは良く理解できます。それは、変化した後会社がどのようになるのか分からないという不安、先代に対して抱いている尊敬の念が踏みにじられたように感じる瞬間の怒りなどなど、様々な気持ちが交錯して、素直に改革に協力的になれなかったりするのです。

後継者は、その気持ちを理解するところから始めなければなりません。この視点が抜けてしまうと、組織をまとめていくのにかなり遠回りをしてしまうことになるかもしれません。

 

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クリニックの事業承継⑰ 今考えるべきこと

後継者の学校のパートナーの児玉秀人です。

私はクリニックの相談にのらせていただくことが多いです。クリニックの経営は財務のこと人事採用教育のこと、相続問題にマーケティングのことなど相談事は多岐にわたります。クリニックの事業承継は一般と何が違うのでしょうか。そのあたりをつづっていきたいと思います。本日は、今考えるべきことについてです。

 

後継者の学校のパートナーコンサルタントの児玉秀人です。

 

事業承継に取り組むにあたって、今考えることはなんでしょうか?

もう一度、立ち止まって考えてみましょう。

 

そもそも事業そのものの過去はどうだったのでしょう。

例えば歯科事業であれば、かつては歯科医院の前に行列を作って

診てもらえるまで痛みに耐えて待っている患者さんであふれていました。

 

その時代に大切だったことは「いかに早くたくさんの患者さんを診てあげられるか」でした。

悪くなるまで行かなくていい。ただでさえ混んでいるのに・・・

こんな風に来院者は考えていたかもしれません。

 

現状はいかがでしょうか?

過去の成功に囚われている医院の多くは苦しんでいます。

一方でファンを増やして来院者であふれる医院があるのも事実です。

 

将来はどうなっていくのでしょうか?

保険診療の範囲は?

点数の改正は?

訪問診療の可能性は?

 

すでに、さんざん話し合われていることかもしれません。

 

 

では、実家の医院のことはどうでしょうか?

 

大先生が開業した時のエピソードは聞いたことがありますか?

あの時は大変だった・・・とか

あの時はものすごく嬉しかった・・・とか

あの時が一番「医師になってよかったと思ったなあ」・・・とか

 

現状はどうでしょうか?

足りないものばかり目についてませんか?

自分がお金出して医院を買う前提で真剣に現状を見れてますか?

 

この医院の将来はどうなりますか?

どうして行きたいですか?

 

どんな承継のカタチがベストだと思いますか?

自身はどうしたいですか?

現実的にはどんな障害がありますか?

 

 

このまま手を打たないとどうなりますか?

 

立ち止まって考えてみてください。

 

事業承継について考えるということは

「人生」について考えるということです。

 

 

このエピソードに胸がざわついた

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児玉秀人でした。

 

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・設備投資と事業計画に基づいた財務計画の策定

・Web戦略相談など

歯科後継者塾|歯科の事業承継を5日間で学ぶ

実録 事業承継~社員の気持ち①~

中小企業の事業承継は、親から子へというのが一般的です。そして、事業承継というと株の話とほぼ同じと考えられて、株の移転をするために株価を下げるにはどうしたらいいか、という話が中心となることが多いです。確かに株の移転をどうするかは頭の痛い課題です。しかし、株の移転を考えるのと同時に、必ずしなければならないことがあります。それは、後継者にしかできないことなのです。

 

後継者の学校大阪校を担当しております税理士の河合です。

中小企業の事業承継は、M&Aなど様々な取り組みが活発になってきていますが、やはり親から子へと引き継がれる場合が多いです。大事に大事に育ててきた会社を引き継いでもらうのは、他人よりも我が子であるほうが嬉しいという親の心情もありますが、株の引継がスムーズにできること、社員から納得感が得やすいことなどがその理由として挙げられます。

しかし、実際現場に入ってみれば、古参社員との軋轢、先代が採用した社員と後継者が採用した社員の間の考え方の違いなどなど、泥臭い人間関係の中にどっぷり浸かり、疲れ切ってしまう後継者も少なくありません。

 

軋轢が生じるのは悪いこと?

もちろん、人間関係が円滑で、事業も好調、資金にも心配が無い状態で会社を引き継ぐことができれば、これほど幸せなことはありません。しかし、今の社会環境を考えると、同じことをしていれば事業は安泰というわけではありません。以前は事業の寿命は30年などと言われていましたが、現在では10年、事業内容によっては5年くらいで全く新しい事業展開をしていかないと、生き残れない時代になってきています。

だから、仮に何の心配もない状態で事業を引き継いだとしても、変化に対する適応力がなければ、自然と淘汰されてしまう可能性が高いと言う意味で、安心してはいられません。

ところで、一般的に人は変化を嫌います。ましてや事業承継という会社の根幹が揺るがされるような出来事が起こるときに、社員は何を考えるでしょうか?

先代(親世代)が採用した社員は、「これまでの仕事はどうなるんだろうか」、「急に方針転換なんてことになって、やることが無くならないだろうか」「恩のあるオヤジさんの言うことはもちろん聞くが、俺はボンに雇われたわけではないからな」と、自分の立場や仕事内容の変化に不安を感じたり、あからさまに「後継者になんかついていくもんか」という態度になったりするかもしれません。しかし、一方で、「最近はオヤジさんの体調も良くないみたいだし、ボンが継いでくれるとなると、この会社はなくならないということだな」「ちょっと会社の調子が悪そうだったけど、ボンが新しい流れを入れてくれることによって、良くなるかもしれないな」といった感じで、期待しているところもあるでしょう。

また、後継者(子世代)が採用した社員は、「いよいよ我がリーダーの出番だ」と期待しているかもしれませんが、やはり体制が変わることに「これからどうなるんだろう」と不安も感じています。

社員ひとりひとりが期待と不安を感じている状態ですから、ちょっとした変化があれば、軋轢が生じ、大騒ぎになることもあります。元々揉めることが好きな人はあまりいないと思いますが、特に後継者の中には社員間の軋轢に苦手意識を持っている方が多いように感じます。

しかし、軋轢が生じることは、決して悪いことではありません。むしろ、うまく乗り切ることができれば、後継者が組織での存在を確立し、組織をまとめることができる良いチャンスにすらなるのです。

 

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歴史に学ぶ後継者経営 真田丸②(真田昌幸)

私主に日本の歴史から後継者経営に学べる題材をとって、皆さんと一緒に後継者経営を考えて参りたいと思います。

今回からは、「真田丸」から題材をとって、真田昌幸の後継者としての成長を見て参りたいと思います。真田丸、お勧めですので見てください。昌幸、信之、信繁それぞれがそれぞれの承継をしていきます。

 

後継者の皆様

 

後継者の学校パートナー、石橋です。

 

私は主として日本の歴史から題材をとって、事業承継や後継者経営のありかたを皆さんと考えていきたいと思っています。

 

前回からの続きで、今年のNHK大河ドラマ「真田丸」を取り上げて、後継者とは、ということについて考えてみたいと思います。前回が、5月末というのは伏せておきたい事実ではございますが…大変ご無沙汰いたしまして、申し訳ございません。

前回では、「真田丸」を見てみたら期待以上に面白かったこと、そして1話から6話までに描かれている真田昌幸の後継者としての成長から、私たち後継者も学べそうな気がしたことを申し上げました。

 

ただ、大河ドラマの1話から6話といえば…お正月から2月の寒い頃までのお話しです。もう梅雨も終わろうとする今頃になって、書く話ではないですよね。もうすっかりそんな頃の話など忘れておられる方も多いと思いますので、あらすじと一緒に真田昌幸の成長を見ていきたいと思います。

 

また、前回でも真田昌幸について簡単に紹介しましたが、真田家と真田家が置かれていた時代や環境について、少し説明させていただく必要があると思います。「真田丸」は話の展開上、武田家の滅亡から始まっているのですが、その関係でそれまでの真田家の成り立ちなどの説明を省略しています。大河ドラマは、45分×50回あまりという制約があるので、致し方ないのでしょう。

 

その補足の意味で、少々まどろっこしいとは思いますが、「真田丸」に至るまでの真田昌幸について、今回は申し上げたいと思います。

 

 

真田昌幸は、「戦国キャラ」で分類すると、いわゆる「知謀派」です。

「知謀派」は、毛利元就のところでも紹介しましたね。

「知謀派」と言っても様々でして、ライバルの国の武将を寝返らせる(こちらの味方につける)「調略」を得意とする武将や、敵方を混乱させる「謀略」を得意とする者、戦場において相手の意表を突く戦術を得意とする武将なども、「知謀派」と言われたりします。

 

「知謀派」にはそれぞれ、得意不得意があります。「調略」で有名なのは言うまでもなく羽柴(豊臣)秀吉ですね。「謀略」は毛利元就でしょうか。

 

真田昌幸は、「知謀派」の中でも、相手の意表を突く戦術に長けていたタイプだと私は思います。小集団を意のままに操って、複雑な地形を利用した芸の細かい戦術の使い手でですね。これは、真田昌幸が生まれ育った環境が影響しています。

 

真田昌幸は、信濃国の小県郡(上田市のあたり)の生まれです。北陸新幹線に乗られたことがある人はご存じかもしれませんが、安中榛名を過ぎて富山に出るまでの長野県の区間は、トンネルに入ったり出たりの繰り返しです。

 

そうなんですね。信濃国は今の長野県とほぼ同じですが、山々のあいだに小さな盆地があってそこに人が住んでいるような土地柄なのです。耕作できる土地は狭く地質も痩せていて収穫が少ないため、人口は少なく、それぞれの盆地を小さな豪族(国人・国衆と呼ばれている)が治めていました。あまり、大きな勢力(いわゆる大名)は育ちにくい環境でした。

 

なおかつ、地形が複雑なため攻める方に厳しく守る方に有利です。領地を拡げようとしても、はるばる山を越えていかないといけないので、時間も手間もかかります。

このような環境では、少ない人数を使って、入り組んだ地形を利用した複雑な戦術が有効です。美濃(岐阜県)や近江(滋賀県)の平野で大兵力同士の戦いをしていた織田信長などとは、対照的ですね。

 

ただし、東海道や北陸道と並び東西を結ぶ東山道(中山道)が通っており、人の往来は少なくはなかったようです。

 

そのように小さい豪族同士が争っているところへ、甲斐国から大勢力を率いた武田信玄が侵攻してきて、最終的には信濃は武田家に併呑されます。ただし、信玄をもってしてもそれは簡単な事業ではなく、武田家は様々な国人たちに協力を求めます。

真田家は当時の当主である真田幸隆が積極的に武田家に協力しました。優れた知謀を使ってめざましい活躍をして、たちまちに信玄の信頼を得ます。

真田昌幸は真田幸隆の三男でしたが、真田が武田の家臣となった証として人質になり、武田家に送られます。

もっとも、真田一族は優秀であり武田家での働きも高く評価されていたので、人質というよりもスカウトされて英才教育を受けさせてもらえたようなものです。それはまた、武田の懐柔策の一つでもありました。

 

「真田丸」7話の中で真田昌幸が「わしもカンだけで生きておる。だがわしのカンは、場数を踏んで手に入れたカンじゃ」というくだりがあります。これは、実は正しくはありません。真田昌幸は武田信玄の生前、「信玄の眼」と呼ばれたほどに認められ、信玄から期待をかけられておりました。

武田信玄は、自他認める学問好きであり、四書五経を始めとして一通りの学問は全て修めており、目をかけた家臣にも必ず学問をさせたはずです。武田信玄を尊敬していた徳川家康も、同様に熱心な学問好きでした。

 

基本的な学問を修めていないと、人を率いる武将としての働きはできないと当時は考えられていました。主だった武将には、必ずアドバイザーのような僧侶がいます(武田信玄の場合は快川紹喜)。信玄から命じられて、真田昌幸も一通り以上の学問は修めていたことでしょう。

 

そのように、武田信玄から大きな期待を受けて、信玄の親衛隊としてそばに仕えていた昌幸は、その期待のあらわれとして、跡継ぎがいなかった武田家の親類(信玄の母の一族である大井氏の支族)である「武藤氏」の養子に入り、「武藤喜兵衛」と称します。「真田丸」でも、三方ヶ原の戦いで徳川家康を追い詰めた「武藤喜兵衛」の話が出てきますね。いわば、選ばれて親会社の社長の一族になったようなものです。将来は、武田氏の親類族として、武田家を支えることが期待されていたわけですね。

 

しかし、前回でも申し上げたように、昌幸と同様に武田家に仕えていた二人の兄が長篠の戦いで戦死します。二人とも同時に失うのですから、いかに過酷な戦いだったかがわかりますが、これで昌幸は武田家の一族になれるという夢のような立場から、真田家の跡継ぎとして真田姓に戻ることとなります。兄たちを失った悲しみと合わせて、少々複雑な、残念な気分だったかもしれません。

 

追い打ちをかけるように、長篠から7年後、織田軍が攻めてきて親会社である武田家が滅亡してしまいます。国人衆として武田家を支えていた真田家は支柱を失い、途方に暮れることとなります。

 

ここから、真田昌幸の苦闘が始まります。さて、真田昌幸はこの苦境をどのように越えていくのか。次回、見て参りましょう!

 

 

というわけで、延々と退屈な説明を聞かせてしまい申し訳ございません。書いているこの私も退屈でしたが、これを書いておかないと次回につながらないのです。次回からいよいよ本番ですので、こうご期待です!

 

ブログを読んで興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非後継者の学校の説明会にご参加下さい。

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後継者の学校

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イギリスの国民投票から考えたこと

後継者の学校パートナー、中小企業診断士の岡部眞明です。

6月23日に行われたイギリスの国民投票の結果に世界は揺れています。EU離脱か残留かを問われた投票に出したイギリス国民の答えは、「離脱」でした。

この選択が明らかになった途端に、各国の株価は大きく値下がりし、ポンドやユーロだけでなくドルも値下がりというより、比較的安全な通貨といわれる円に資金が集まり、円高も一気に進みました。世界経済に与える影響は大きく、また、長引きそうです。当のイギリスでは、再投票を求めるネット署名が300万件以上になったそうで、残留派指導者の責任論が噴出したり、主張が現実化した離脱派の方は早くも公約を修正に走るなど、イギリスの混乱は続きます。

得票結果は、離脱が1,741万票(51.9%)、残留が1,614万票(48.1%)と127万票(3.8%)とほぼ拮抗しています。評価によっては引き分けともいえるイギリス国民が下した判断をきっかけに、イギリス国内が混乱するのは仕方がないとしても、EUはもちろん世界経済に甚大な影響を及ぼすことになってしまいました。

離脱の理由は、大英帝国のプライド、移民問題、治安問題などいろいろあると思いますが、一方で、残留する場合に得られるメリットも大きく、イギリスの混乱も、投票の時には考慮しなかった問題に改めて気づいたことによるのではないでしょうか。この結果から私たちは何を学ぶべきなのでしょうか。私たちは、よく間違うということだと思います。

ですから、世の中のことを総合的に判断できる人を選挙で選び、選ばれた人に国や地方の運営をお願いする間接民主主義という仕組みに意味があるわけです。

国民投票という民主的な手段で国の選ぶべき政策を決めることは悪いことではないと思いますが、ソクラテスへの死刑求刑やローマの「パンとサーカス」に象徴されるように、ギリシャ、ローマの昔から大衆(=私たち)はしばしば愚かな側面を表してしまうということを知っておくことは必要なのではないでしょうか。

グループシンクという言葉があります。集団極性化現象ともいわれ、集団行動後に現れる集団の反応の平均が個人の反応の平均より極端に表れることとされますが、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」といった方がわかり易いでしょうか。集団による意思決定が正常に機能しない現象をいいます。

フォルクスワーゲンに始まり、外国のお話と思っていた企業の不祥事は、三菱自動車、マンションの基礎杭、東芝の粉飾決算などなど、もういちいちコメントする気にもならないくらいに次々起こる事件も、このグループシンクが正常な判断を阻害した結果と言えると思います。

このグループシンクは、組織の凝集性の高い、結束力の強い組織に起こりやすいといわれています。凝集性の強いことは、目標に向かう力が強いわけですから組織の効率としては良いことではあります。

しかし、組織の構成員の行動は、残念ながらしばしば間違うという事実をリーダーは予定した組織運営を行わなければなりません。キャメロン首相の失敗は、ある意味民主主義の基本概念である、大衆行動へ指導者の対応だったのではないでしょうか。

民主主義の発展と教育制度の充実が期を一にしたように、リーダーは、自らが考え行動できる人、すなわち組織の凝集性に引きずられることのない人が育つような組織、学習する組織を作ることも大きな責任です。

「凝集性が強く、そして組織の凝集性にとらわれない人がいる組織」この論理矛盾を目指すなんて、なんか楽しそうではありませんか。

モヤモヤした方もスッキリした方も
後継者の学校では無料インタビューを行っています。

詳しくは下記ホームページよりご覧ください。

後継者の学校
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組織について

後継者の学校パートナー、中小企業診断士の岡部眞明です。

今回は組織について考えてみます。

理化学研究所(「理研」)の研究チームが合成に成功した元素の名前の案が発表され、その名「ニホニウム」が世界的に認証される手続きに入りました。

これはもちろん日本で、(アジアでも)はじめての快挙です。

未知の元素「ニホニウム」(原子番号113番)の合成(自然界にない元素なので)には、理研のRIビームファクトリーという原子や電子を光の速さ近くまで加速する加速器と呼ばれる装置が使われました。この実験は、亜鉛(原子番号30)とビスマス(原子番号83)を衝突・合体させてつくるそうですが、その確率がなんと100兆分の1という想像もできない低確率です。2003年9月に開始された実験が成功したのは9年後の2012年8月だとのこと、このほとんど成功確率「0」の実験を続け今回の快挙を成し遂げた、森田浩介チームリーダーはじめ皆さんの努力、知力そしてあきらめない意志力、高い使命感は賞賛しきれるものではありません。

「ニホニウム」の合成は、森田チームリーダー率いる超重元素研究グループによる研究の成果ですが、RIビームファクトリーという装置の開発は、1998年から始まっています。

開発当初の加速器は、研究者の方々の手造りといっていいくらいで、予算も多くはなく、装置を納める建屋も中学校の体育館程度でした。このような成果を収めるようになっても、隣りあった野球グラウンド(ここで試合をした経験があります。私事ですが…)をつぶして建設したもので、近隣は住宅地という、この手の装置の敷地としては大変狭いものです。。

予算や立地の制約をクリアして、コンパクトで安全性や性能を十分にクリアする設備で世界的な成果を出す組織の力を維持し続けることは何故可能なのでしょうか。

今回は、あえて人ではなく組織に焦点を当ててみます。

人間は社会的動物といわれます。私たちは、すべて何かの組織に属していますし、私たちの周りには、そこらじゅうに組織があります。私たちが暮らす現代社会は、知識や技術が高度化して、人間や組織などの関係も複雑さを増しています。そのような中で、ひとは何かの組織に属さなければ生きていけません。では生きていくために属する組織を選ぶ基準はどうでしょうか?

組織が成立つためには、構成する人が同じ目的を持っていること(=共通目的)、その組織目的を達成するために積極的に働こうとする意欲があること(=貢献意欲)、さらに、構成員の間で目的達成のため十分な意思疎通が図られていること(=コミュニケーション)が必要であるとされます。

そして、組織の構成員は、自分が組織のために働く貢献度合いより組織に属していることで得られる満足の方が大きい場合にその組織に属することになるといわれます(貢献≦誘因)。

組織は構成員の貢献によって成り立ちますが、その貢献より大きな魅力がなければ構成員を確保できないというジレンマを抱え続けているのです。このジレンマを克服するためには、組織構成員の貢献を足して、1+1>2の成果を出す構造をもち続けることが宿命なのです。

超元素研究グループの理研所属の研究員の方は十人程度ですが、その他に大学からの研究者、学生、外国人研究員など多くの方が、チームの一員として参加しています。これらの方々の貢献によって、今回の快挙があります。これらの方々は、理研からあるいはこの研究から十分なお給料をいただいているわけではなくチームに参加しています。それは、科学の進歩への貢献、自分の研究者としてのキャリアなどそれぞれの人により、このチームから受ける誘因は違っていると思いますが、個人としての貢献≦誘因の判断はそれぞれです。(狭い立地に安全性を高めた施設は、交通の便の良さという誘因を生みました。)

ここで、この十数行に登場しなかった組織成立の要件、コミュニケーションが登場します。

貢献の足し算を1+1>2にするには、コミュニケーションが有効に作用します。その要がはやはりリーダーシップなのです。

組織の誘因を高めるリーダーの手腕と相まって組織が有効に機能するのです。

森田チームリーダーの誠実な人柄からも納得できる組織論だと思います。

後継者にまつわる小説あれこれ(その12)

司法書士の木村貴裕です。

小説は気軽に読めて、でも何か気づきを得たり、力がわいてくることってありますよね。

ほんの少しでも何か感じてもらえそうなものをこれから少しずつ紹介したいと思います。

後継者の学校パートナーブログですので、もちろん後継者や事業承継に関するものを。

 

後継者の学校パートナーで司法書士の木村貴裕です。

私は通勤時間をもっぱら読書にあてております。

地下鉄なので外の景色を眺めても面白くもなんともないという理由もありますが。

 

経営書ではなくあまり肩のこらない小説ばかりなのですが、結構事業承継にからむ話もあります。

後継者や後継者候補の方に何か少しでも感じてもらえるものがあればと思い、今まで読んだ中から、後継者や事業承継に関係するものを何冊か紹介します。

 

今回紹介するのは、

 

「ローカル線で行こう!」真保裕一 著(講談社)

 

赤字ローカル線の再生を託されたのは、地元出身の新幹線カリスマ・アテンダント というお話し。

帯に、読めば元気が出てくる痛快鉄道再生ミステリー とあります。

はい、確かに元気がでます。

 

運行本数も減らし、社員を半数近くまで人員整理をしてなお走れば走るほど赤字がかさむ状態。

経営陣にそっぽを向く、というより皆がてんでばらばらの方向を向いているような社員、社内の覇気のなさ、風紀の乱れ。

なかなか厳しい状態です。

 

そんな状況から、新社長が、持ち前の知恵と度胸で社内を活気づかせていきます。

 

打ち手はそれほど目新しいとは言えないものですが、明るく前向きに取り組み、副社長や社員ひいては地域まで巻き込んで、やがて皆が同じ方向を向いて進んで行こうという雰囲気になっていきます。

 

つい最近、現実に業績を伸ばしている社長の話を伺う機会がありましたが、一つ一つのことに気を遣い、一つ一つのことをきちんと積み重ねていく、もしかしたらその一つ一つの打ち手はそれほど目新しいことではないのかもしれませんが、それを丁寧に継続していくというのはなかなかできることではありません。

 

それどこかで聞いたことがあるよ、ということでも実際に取り入れ継続していくのは難しい。

そういうことができるかどうかが大きな差になるのだと痛感しました。

 

後継者経営でも必要な自社の強みの再確認、小説では今までもうひとつ生かせていなかった沿線や社員の良さを見いだしあるいは再確認し、それを強みに変えたりして、盛り立てていきます。

 

色々取り上げたい箇所があるのですが、もう一つだけ。

 

新社長に就任する際に、異例人事に納得のいかない株主を前に、5ヶ月で結果がでなければ首を切ってもらって結構という啖呵を切ります。

 

経営者である取締役は、会社所有者である株主に自分を選んでもらわなければなりません。

株式会社では当たり前の構図なのですが、現実の後継者や後継者候補には株主と取締役の違いが今ひとつわかっていない方がいらっしゃいます。

 

これもつい最近あった現実の話なのですが、代表取締役になればそれで会社のことを全て自由に出来る、自分のものになると考えていらっしゃる方がいました。

株式に関しては全く気にしていない様子。

 

そもそもご自身を経営者に選ぶ権限がご自身にあるかどうかもわからないのに、そして、経営者になったとしても首を切られる可能性があるなんてことをこれっぽっちも心配している様子も感じられない。

 

業績が上がらなければ首を切ってもらって構わないと主人公は言いますが、現実に起きたらたまったものではありませんよね。

株式を掌握していないというのは、そういう危険性があるということです。

もっと言えば、収益があがる仕組み作りができたとたん首を切られる可能性もあります。

そんな状態で力が発揮できる人は少ないのではないでしょうか。

 

小説の主人公は、実は二人。

先ほど紹介した新幹線アテンダントの新社長(女性)と、出向してきている県庁職員の副社長(男性)。

 

副社長の変化なども楽しめます。

 

後継者の学校では、後継者や後継者候補のために、自社の客観視や統治基盤など事業承継に関する幅広い内容のプログラムを用意しています。

 

ご興味のある方は、一度ご連絡下さい。

 

先に紹介したように痛快鉄道再生ミステリーとありますが、それはどんな内容かは読んでからのお楽しみとしておきましょう。

 

この話が少しでも何かのきっかけになれば幸いです。

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与えられた立場と持っているチカラ

後継者の学校パートナー中小企業診断士の岡部眞明です。

今回は自慢話です。

私たちの後継者の学校と提携関係にある「軍師アカデミー」という団体のある会員の方、Tさんのお話です。

彼女は、今回地震見舞われた熊本県にあるトラックの荷台部分を製作する会社の社長の娘さんです。弟さんが次期社長として役員をなさっていますが、ほぼ、現社長であるお父様のトップダウンで物事が決まっています。

弟さんも、他社へ修行に行ったりして、業界や会社のことを一生懸命勉強していますが、どうしても、お父様の存在が大きく悪戦苦闘する日々が続きます。

社員の皆さんも、社長の指示待ちで、仕事に対しても消極的であったようです。

そんな中、Tさんは社長と弟さん、そして社員の間に立ち、社長の考えを弟さんに伝え、役員の考えを社員に伝え、社員の思いを社長や役員に伝える、いわゆるパイプ役、緩衝役を務めます。

しかし、会社の雰囲気はよくなりません。

そこで、Tさんは気づきます。「こんな風にしていること自体がみんなの積極性を奪っている。」

それから、社員の皆さんが積極的に仕事をしてもらうために、弟さんが次期社長として成長してもらうために、軍師アカデミーで学習したことを実践します。軍師として・・・、社長の娘として・・・、後継者の姉として・・・。

いろいろな取り組みをなさっていますが、私がここでする自慢話は2つです。

Tさんのなさったことその①・・・《お誕生日プレゼント》

それまで、社員の方のお誕生日には、退社時に粗品的なものをお渡しをしていたそうです。

それを朝礼の時に時間をずらし、全員の前で大々的に贈呈することにしました。お祝いの品は、Tさんが一所懸命選びます。そして、もちろんかわいらしいラッピングと女性らしい心づかいのメッセージを添えて・・・。

Tさんのなさったことその②・・・《ちょっと、いいことメモ》

社員の皆さんが、普段、仕事をしているなかでしている何気ない行動。そのちょっとした行動、「いいなぁ」と感じたことをノートにメモをします。そして、社員の方とお話しする機会があったとき、それ伝え、社員の方を褒めるようにしました。

「最近は、社内の掃除はもちろん、皆さんが積極的になって、会社が明るくなってきました。」と、Tさんは話します。

『「私は、社員の方がこの会社に入ってよかった。」家族の方や皆さんに「あの会社は、いい会社だよね。」といわれるようになりたいんです。』

そうおっしゃるTさんの決意は周りの人を包み込むような優しくも強いものを感じさせてくれました。

そのような仲間がいることが私の自慢です。

 

話は変わって、古事記のお話。

登場人物は、ご存じの「大国主命(オオクニヌシノミコト)」。

一生懸命、国造りに励みますが、「自分のやっていることが本当に皆のためになっているのか。」と不安になります。

そんなあるとき、「すくなさま」(=少名毘古那神(スクナビコナノカミ))を手伝って、国造りを行うことを命じられます。

大国主命はたくさんのよいことをしてきましたし、そのたびに「大国主命」のおかげですと感謝されてきました。

ところが、「すくなさま」は、名前のとおり小さな小さな、見えないくらい小さな神様でしたので、いっぱい良いことを施しても、みな自分たちでやったと結果とってしまいます。

けれど、大国主命は、すくなさまと一緒にした仕事に、みんなが本当に喜んでいるのを見て、本当に満足します。それまでの、不安な気持ちは吹っ飛んでしまいます。

 

この二つのお話、Tさんと大国主命。共通するところは、自分の与えられた立場とそのもっている力を正しく認識し信じること、また、その力は自分に力ではなく、与えられた力であることに気づくことだと思います。

経営者は大きな力を持っていますが、その力は社員やお客様あってのこと。当たり前のことにきちんと気づきくことは、大国主命やTさんならずとも難しいことではないと思いますが、それを実践するまでには、さらに深い気づきが必要です。

今回は、自慢話から始まりましたが、日本人に昔からある心と経営を考えてみました。

 

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クリニックの事業承継④ 人事戦略

後継者の学校のパートナーの児玉秀人です。

私はクリニックの相談にのらせていただくことが多いです。クリニックの経営は財務のこと人事採用教育のこと、相続問題にマーケティングのことなど相談事は多岐にわたります。クリニックの事業承継は一般と何が違うのでしょうか。そのあたりをつづっていきたいと思います。本日はクリニックの人事戦略についてです。

 

後継者の学校のパートナーコンサルタントの児玉秀人です。

 

クリニックの悩みの代表格は何といっても

「人材不足」です。

 

そしてその次に来るのは

「定着率の低さ」です。

 

ゆえに採用活動は困難を極め

北海道の北のはずれの

歯科衛生士養成校の有効求人倍率が

7倍を超えているというデータもあります。

 

ドクターの採用はもっと過酷で

院長の人脈勝負になっています。

特に体育会系人脈が最強のようです。

 

そうなってくると医院を承継する場合、

長年続けてくださるコメディカルスタッフの存在はありがたいものです。

 

ところがその大先生が手塩にかけて育てたスタッフさんたちに

受け入れられない若先生が多いのも事実です。

 

彼らもわかっているのです。

おいそれとスタッフをクビにできない状況を。

 

 

そして、医療介護の分野は定着率も悪く

看護師さんの平均勤続年数が1年を切っている

クリニックもあります。

 

後継院長はこのスタッフさんたちと

どう新たに契(ちぎり)を結んでいくのか・・・

 

そのキーは大先生にへの接し方にあります。

常に大先生を立て、尊敬していることを

スタッフ全員に伝える。

 

そして、大先生を支え続けてくれたことを

スタッフに心から感謝する。

 

これをやり続けたあるクリニックの院長は

継いだとき2000万円しかなかった売り上げを

5年で1億5千万円まで上げました。

 

その若い院長先生は本音でこう言います。

「僕はスタッフに生かされている自信がある」

 

 

素敵な姿勢ですね。

 

 

このエピソードに胸がざわついた

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「後継者と共に強い会社をつくるヒトとおカネの専門家」

児玉秀人でした。

 

メディカル、デンタルのサポートをしています。

「クリニックの財務が劇的によくなる秘密の方法」教えます。

 

財務状況を改善したら次はヒト。

「業績が30%向上する人事評価システム」教えます。

私が得意なのは以下です。

 

・人材採用・育成相談、人事評価システムの提供

・資金調達のための経営改善計画書の作成

・設備投資と事業計画に基づいた財務計画の策定

・Web戦略相談など

歯科後継者塾|歯科の事業承継を5日間で学ぶ

三菱自動車の燃費データ不正に考える

後継者の学校パートナー、中小企業診断士岡部眞明です。

三菱自動車の燃費データの不正が発覚しました。三菱自動車は、過去に2000年と2004年の2度のリコール隠しを行い刑事事件にもなっています。にもかかわらず、また、意図的に不正が行われてしまいました。

三菱グループからの支援を受け、再生を誓ってからわずか12年、順調に見えていた業績はこの不正に支えられていたことになります。

この事態に、「三菱ブランドを傷つける。」「いや、日本ブランドへの信頼をも毀損する。」と、我が国の産業界自体にも大きな影響を与えかねない事態になっています。

三菱自動車のブランドイメージは、リコール隠し以降そんなによくはないとおもいますが、三菱グループといえば、そのブランドイメージは「安定」「勝者」と、安心感とか信頼感につながります。三菱グループ内では、「三菱は国家なり」というくらい社会に貢献する企業としての自負や責任感は大きいものがあるようです。

三菱グループが共有する企業姿勢、企業活動の道しるべとされているものに「三綱領」というものがあります。

いわく、

「立業貿易(全世界的、宇宙的視野に立脚した事業展開を図る。)」

「処事光明(公明正大で品格ある行動を旨とし、活動の公開性、透明性を堅持する。)」

「所期奉公(事業を通じ、物心共に豊かな社会の実現に努力すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献する。)」

(4代目三菱商事社長岩崎小彌太)。

まさに日本から世界そして地球規模までを視野にいれています。

三菱自動車はどうでしょうか。

「Drive@earth」「@earth TECHNOLGY 環境への貢献・走る歓び・確かな安心」

今となっては、ブラックジョークのようです。

明治の殖産興業、我が国の近代化を支え、成長してきた三菱の企業理念は素晴らしいものだと思います。先人たちが、誠実に企業離縁を守り、営々として積み上げてきた三菱の企業イメージ「安定」や「勝者」が、三菱自動車が守らなければならないものが、「社会」や「地球」から「勝者としての会社」や「安定した会社」という、自分たち自身が入社以前に持っていた三菱のイメージになっていしまっていたのではないでしょうか。

今回、世の中の注目は「三菱ブランド」「日本ブランド」のことで、ブランドとの関係が多かったように思います。企業がつくりだすブランドに対し、消費者側に作られる記憶の総合がブランドイメージです。

ブランドとは、「販売者ないし販売グループの製品やサービスを識別し、それらを競争他者から差別化するために付される名前、言葉、記号、シンボル、デザインないしはこれらの組み合わせからなるもの。」と定義されます。

形だけの差別化は、遅かれ早かれ模倣されコモデティ化されてしまいます。他社が絶対に真似できない差別化要因は何でしょうか、それは組織です。組織のメンバー(社員)、伝統的活動、能力、風土がつくりだす力です。その組織に方向性を与えるものが、企業理念です。

先輩は、現場でその高い理念を実践してきたからこそ、今日の「安定」「勝者」というブランドイメージを確立できたのです。そして、いまそのイメージにとらわれて、三菱自動車という会社は存続の危機を迎えています。理念と現場の具体的行動が遊離してしまった結果です。社員一人ひとりが、本当に地球環境のことや信頼される技術のことそしてお客様のことを考えていたら、虚偽の性能表示なんてありえません。それより、ダイハツやスズキに勝つこと、売上を優先したから、今回の結果があるのです。

「あの会社は変わらないよ。」そうかもしれませんが、いや、そうであればなおさら考える必要がありませんか。「自分の会社は大丈夫?」

対岸の火事とか他山の石という言葉あります。企業理念を美しい言葉で飾ることは、そんなに難しいことではありません。はやり言葉、今でいえば、地球環境、社会貢献、安全・安心・・・。三菱の理念は、素晴らしいものです。

企業理念が一つ一つの商品やサービス、社員一人ひとりの行動と結びついて具体的に力とすることが経営者の仕事です。そして、お客様や従業員とその家族、世の中を幸せにすることが使命なのです。

「ブランド価値は、玉ねぎにそっくりだ。何枚もの層をむいていくと、中心には芯がある。それは、ブランドの場合、最後の最後まで一緒にいてくれる顧客である。(P&G前CEOエドウィン・アーツ「ブランド論」(デービット・アーカー)より」