会社名:株式会社S和菓子店
会社規模:売上高5億円、従業員20名
業種:和菓子の製造販売・小売り
吉田B作(息子) 40歳:代表取締役社長 (2年前に事業承継)
吉田K太郎(父親) 65歳:前社長(現在は引退)
※ここでは便宜的に「決算書」≒「財務諸表」として表現しています。
吉田B作さんは、S和菓子店の後継者として2年前に親であり先代社長である吉田K太郎さんから、会社の代表権を受け継ぎ代表取締役となりました。吉田K太郎さんは、代表退任後は地元の市議となり、政治活動を中心に活動をしており、今では会社にはほとんど来ていません。
B作さんは、大学卒表後、大手菓子メーカーに就職し6年勤めた後、K太郎さんに呼ばれ29歳の時にS和菓子店に入社しました。B作さんは、大手菓子メーカー時代から営業畑1本で、S和菓子店でも営業経験を活かして売上に貢献をしていました。
そんな売上に執念を持って営業をするB作さんを、徐々に認めていったK太郎さんは、事業承継を決意し2年前に代表交代をしたのでした。
B作さんは、営業には自信がありましたし、営業部門を率いていたので社員マネジメントにも自信が
あったのですが、財務や法律、株式のことなどは、あまり勉強をしたことがありませんでした。
B作さんは、経営者としては、苦手だけどやっぱり決算書くらいは見れないといけないな、と思い、勉強を始めました。知人に紹介された財務セミナーに参加したり、「決算書の見方」という本を読んだり、顧問税理士の先生にも自社の決算書を見ながら、その見方を教えてもらったりしました。
B作さんは、勉強のかいもあり、勘定科目の意味を知り、それぞれの科目が何を意味しているのかもわかりました。また、売上から売上原価、販売費や一般管理費を差し引いて営業利益になるなど、損益の構造についてもわかり、資産と負債と純資産の貸借対照表の構造についてもわかりました。
「なんだ、ルールがわかれば簡単じゃないか!」
「決算書なんて簡単じゃん!」
そして、それから2年がたちました。
「売上が下がっている!」「営業利益もさがっているじゃないか!」
B作さんは、決算書を見れるようになっていたので、会社の業績がどれくらい悪くなっているかしっかり理解することができました。
「営業利益が下がっている場合は!?」
税理士の先生から聞いたことや本で読んだことを思い出していました。
「まずは売上を回復させるためにどうするか考えよう!」
「あと経費を見直さなければ!!!コストカットしないと!!!!」
「売上を増やすために、売るための商品数を増やそう!」
「新商品をつくるために新しく機械を導入しよう!!!」
「店舗を改装して、清潔感を出して新しい顧客層にアピールしよう!!」
「コストを見直してカットした分で、営業マンを雇い入れよう!!」
B作さんは、営業利益の回復をさせるためにいろいろな仕掛けを試みました。銀行からお金を借りて、新しい機械を導入したり、新しく営業マンを雇ったり、店舗を新しく改装したり、その結果、商品数を増やして、新商品を打ち出したことなどで珍しさもあり、売り上げは上昇したのです。
それに合わせて利益も増加し、営業利益は、2年前と同水準に回復したのです。
「ふう、なんとか営業利益がもとにもどったぞ!」
B作さんは、一時ほっとしました。
しかし・・・・利益が出ているはずなのに、お金がない。
「お金が減っていっていないか!?」
「なにかおかしいかも?」と感じながらも、「利益が出たからよかろう!」と思い。
そのままにしていたのです。
そして、そのさらに3年後・・・・・世界的な不況の波が押し寄せてきたのです。
S和菓子店も、不況の波にのまれ売り上げは落ち込みました。そして、すぐに銀行に借りたお金が返せなくなってしまい、資金不足で眠れぬ日々が続くことになってしまったのです。
B作さんは、つぶやきました・・・「不景気にならなければ、こんなことにならなかったのに・・・」
さて・・・
B作さんは、苦しみを不況のせいにしていましたが、本当に不況が原因だったのでしょうか?
一要因であったかもしれませんが、B作さんの財務的采配に間違いはなかったのでしょうか?
この事例の失敗したポイントは、こちらのコラムで解説をご覧ください。
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2017年9月14日(木)18:30~20:30
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