カテゴリー別アーカイブ: 大阪校代表 河合由紀子

実録 事業承継~社員の気持ち②~

中小企業の事業承継において、最も一般的な親から子への承継。株の引き継ぎがスムーズであることや周囲の納得感が得られやすいなど、メリットはたくさんあります。

しかし一方で、親子とはいえ、全く異なる考え方を持った後継者が社長になり、組織をまとめていくのは簡単なことではありません。後継者が事業承継のタイミングでするべきことをしっかりすれば、必ず強い組織になるのです。

後継者が組織をまとめていくときに立ちはだかる壁がいくつかあります。その一つが古参社員との関係です。

 

後継者の学校大阪校を担当しております税理士の河合です。

中小企業の事業承継は、M&Aなど様々な取り組みが活発になってきていますが、やはり親から子へと引き継がれる場合が多いです。大切に我が子のように、あるいはそれ以上の想いで育ててきた会社を引き継いでもらうのは、他人よりも我が子であるほうが嬉しいという親の心情もありますが、株の引継がスムーズにできること、社員のなかからの登用よりも社員から納得感が得やすいことなどが、その理由として挙げられます。

しかし、実際現場に入ってみると、古参社員との軋轢、先代が採用した社員と後継者が採用した社員の間の考え方の違いなどなど、泥臭い人間関係の中にどっぷり浸かり、疲れ切ってしまう後継者も少なくありません。

 

後継者と古参社員との間に軋轢が生まれやすいのは何故か

古参社員という言葉にどんなイメージを持たれますか?言い換えるとベテラン社員、古株など「頼れる存在」というイメージもあれば、「変化に抵抗する勢力」というイメージを持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?後継者にとってみれば、子供のころから自分の事を知っているため頭の上がらない、少し煙たい存在という場合も多く見うけられます。

後継者が親の会社に入る際には、100%継ぐと決まっているわけではなくても自分なりに決意をして入社するという場合もあれば、親に言われて仕方なく入社する、周りの雰囲気を感じて何となく入社するといった具合に色々なパターンがあります。いずれにしても、周りの目、後継者自身の意識などから、元々何の関係もない会社に就職するのとは全く異なる立場で入社することになります。

その違いは一般的な就職と比較するとよくわかります。通常、就職する際には、面接を受けたり、同業他社も含めて会社のことを調べたり、入社した場合の自分の将来像を描いたりというプロセスを経て、自分で納得して入社します。このプロセスは古参社員も経験しています。そして、社内で様々な教育を受け、仕事も覚え、同僚や上司との関係性を深める中で立場も確立し、この会社で働いていて良かった(良かったとまではいかなくても、少なくとも悪くない)と感じています。時間をかけて会社のカラーに染まっていくのです。

でも、後継者は違います。後継者はいずれ自分が経営するかもしれないという目で、様々なものを見て考えます。しっかり考えれば考えるほど、これまでのやり方が古いと感じたり違和感があったりと、色々変革したいと思うようになることも多いでしょう。そんな変革を進めていこうとする後継者の姿は、古参社員にはどのように映るでしょうか?

入社以来、時間をかけて馴染んできた組織が大きく変わってしまうことに、誰でも多かれ少なかれ不安を感じるというのは良く理解できます。それは、変化した後会社がどのようになるのか分からないという不安、先代に対して抱いている尊敬の念が踏みにじられたように感じる瞬間の怒りなどなど、様々な気持ちが交錯して、素直に改革に協力的になれなかったりするのです。

後継者は、その気持ちを理解するところから始めなければなりません。この視点が抜けてしまうと、組織をまとめていくのにかなり遠回りをしてしまうことになるかもしれません。

 

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実録 事業承継~社員の気持ち①~

中小企業の事業承継は、親から子へというのが一般的です。そして、事業承継というと株の話とほぼ同じと考えられて、株の移転をするために株価を下げるにはどうしたらいいか、という話が中心となることが多いです。確かに株の移転をどうするかは頭の痛い課題です。しかし、株の移転を考えるのと同時に、必ずしなければならないことがあります。それは、後継者にしかできないことなのです。

 

後継者の学校大阪校を担当しております税理士の河合です。

中小企業の事業承継は、M&Aなど様々な取り組みが活発になってきていますが、やはり親から子へと引き継がれる場合が多いです。大事に大事に育ててきた会社を引き継いでもらうのは、他人よりも我が子であるほうが嬉しいという親の心情もありますが、株の引継がスムーズにできること、社員から納得感が得やすいことなどがその理由として挙げられます。

しかし、実際現場に入ってみれば、古参社員との軋轢、先代が採用した社員と後継者が採用した社員の間の考え方の違いなどなど、泥臭い人間関係の中にどっぷり浸かり、疲れ切ってしまう後継者も少なくありません。

 

軋轢が生じるのは悪いこと?

もちろん、人間関係が円滑で、事業も好調、資金にも心配が無い状態で会社を引き継ぐことができれば、これほど幸せなことはありません。しかし、今の社会環境を考えると、同じことをしていれば事業は安泰というわけではありません。以前は事業の寿命は30年などと言われていましたが、現在では10年、事業内容によっては5年くらいで全く新しい事業展開をしていかないと、生き残れない時代になってきています。

だから、仮に何の心配もない状態で事業を引き継いだとしても、変化に対する適応力がなければ、自然と淘汰されてしまう可能性が高いと言う意味で、安心してはいられません。

ところで、一般的に人は変化を嫌います。ましてや事業承継という会社の根幹が揺るがされるような出来事が起こるときに、社員は何を考えるでしょうか?

先代(親世代)が採用した社員は、「これまでの仕事はどうなるんだろうか」、「急に方針転換なんてことになって、やることが無くならないだろうか」「恩のあるオヤジさんの言うことはもちろん聞くが、俺はボンに雇われたわけではないからな」と、自分の立場や仕事内容の変化に不安を感じたり、あからさまに「後継者になんかついていくもんか」という態度になったりするかもしれません。しかし、一方で、「最近はオヤジさんの体調も良くないみたいだし、ボンが継いでくれるとなると、この会社はなくならないということだな」「ちょっと会社の調子が悪そうだったけど、ボンが新しい流れを入れてくれることによって、良くなるかもしれないな」といった感じで、期待しているところもあるでしょう。

また、後継者(子世代)が採用した社員は、「いよいよ我がリーダーの出番だ」と期待しているかもしれませんが、やはり体制が変わることに「これからどうなるんだろう」と不安も感じています。

社員ひとりひとりが期待と不安を感じている状態ですから、ちょっとした変化があれば、軋轢が生じ、大騒ぎになることもあります。元々揉めることが好きな人はあまりいないと思いますが、特に後継者の中には社員間の軋轢に苦手意識を持っている方が多いように感じます。

しかし、軋轢が生じることは、決して悪いことではありません。むしろ、うまく乗り切ることができれば、後継者が組織での存在を確立し、組織をまとめることができる良いチャンスにすらなるのです。

 

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実録 事業承継~継ぐべきか継がざるべきか③~

事業承継は敷かれたレールに乗っかるだけではうまくいきません。それは何となく分かっているけど具体的にどうしていいか分からないまま時間だけが過ぎていく。そんな状態に陥っていませんか?継ぐべきか継がざるべきか、どこかで判断をしなければ、前に進めません。とはいえ、事業承継って多くの人が経験するものでもないし、誰に相談しても明確な答えも返ってこないし、どうしていいか分からないまま「悩んでいてもしかたない!ここは覚悟を決めて…えいやっ!継いでしまえ」。こんなお話、実は結構あります。でも継ぐ前に押さえないといけないポイント、明確にあるんです。

後継者の学校大阪校を担当しております税理士の河合由紀子です。

実家が事業をしているけれど、継ぐべきか継がざるべきか悩まれている方、結構いらっしゃいます。そして、「なんとなく」とか「当たり前だと思って」代表に就任してしまうパターンが結構あります。本日は、前回に引き続き、事業を継ぐべきか継がざるべきか判断する際の具体的な方法をお伝えします。

 

契約書って見たことありますか?

事業をしていると、様々な契約を結んでいます。

例えば事務所や工場が賃貸物件であれば、賃貸借契約、仕入先、得意先との取引に関する基本契約、大切な機器のリース契約、金融機関から借入をしている場合には借入に関する契約、従業員さんとの雇用契約などなどです。

これらは契約書として書面になっているものもあれば、口約束になっているものもあるかもしれません。人に関すること、お金に関すること、取引に関すること、モノ(有形・無形)に関すること、といった分類でそれぞれの契約をチェックしていってみましょう。

 

なぜ契約のチェックがいるのでしょうか?

以前のブログで、会社の実態を数字から把握していくことが、事業承継をするかしないか判断する際の一つのポイントになるとお伝えしました。しかし、決算書や総勘定元帳や請求書や領収書を見ても、掴めないものがあります。

例えば主要工場が賃貸物件で、あと3年で契約期間が満了するという契約になっていて、契約は更新されないという約束になっていたとすると、後継者が継ぐと決めるなら、3年後には移転しなければならないということを頭に入れておかなければなりません。そして、移転するための費用はどれくらいかかるのか、それにより財務面はどうなるのか知っておかなければなりません。また、書面上は契約の更新はしないとなっていても、交渉により更新できる可能性があるのかについても早めに探ることもできます。

他にも、例えばリース契約を結んでいたとすると、残り何年間でいくらの支払が必要なのか、帳簿上に出ている場合と出ていない場合がありますので、その総額を把握する必要があります。

一例をあげましたが、詳細に帳簿の内容を把握しても、帳簿には載っていないリスクが隠れている場合があります。継ぐか継ぐのをやめるか判断する際には、こういったリスクを改めて整理して把握することが重要です。普段当たり前のように思っていて、気にしていなかったことも、実は経営をしていく上でとても重要な事柄があります。それを整理し、リスクを把握するためにも契約書(契約書がない契約についても)のチェックは必須です。

 

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実録 事業承継~継ぐべきか継がざるべきか②~

事業承継は敷かれたレールに乗っかるだけではうまくいきません。継ぐべきか継がざるべきか、どこかでその判断をしなければ、前に進めません。とはいえ、事業承継って一生のうちに何回もするものでもないし、どうしていいか分からないまま、「親の気持ちもわかるし…えいやっ!継いでしまえ」。こんなお話、実は結構あります。でも実はあるんです。判断する方法。

 

後継者の学校大阪校を担当しております税理士の河合です。

実家が事業をしているけれど、継ぐべきか継がざるべきか悩まれている方、結構いらっしゃいます。本日は、前回に引き続き、そんな時どのようにその判断をするのかについての具体的な方法を一つお伝えします。

 

総勘定元帳って見たことありますか?

決算書を見ることは、継ぐか継がないかの判断をする際に必要不可欠です。では、決算書のデータの基になっている、総勘定元帳ってご存知ですか?

決算書には、貸借対照表という会社の資産、負債等が記載されているものと、損益計算書という会社の一年間の活動の結果いくら利益がでたか、またその利益は売上から何をいくら差し引いて出たのかが記載されているものがあります。

この決算書に載っている数字は、日々のお金の動きなどを帳簿に記録して、集計されてまとめられたものです。だから、日々のお金の動きなどを詳しく知ろうと思えば、集計される前の個々の記録が分かる「総勘定元帳」というものを見ます。

 

本当に正しい数字?

総勘定元帳を見れば、決算書よりは詳しい情報を得ることができます。しかし、継ぐか継がないかの判断をするためには、総勘定元帳だけでは不十分です。私は税理士事務所を経営しておりますので、お客様の会計に関わらせていただいています。中小企業の場合、ほとんどが税務会計ベースの会計処理をされています。これは、税法という法律に「このように処理しなければならない」と書かれている方法で処理しているということです。この処理方法が会社の実態に合っていれば良いのですが、実際は合っていないことの方が多いです。会社が稼ぐ本当の力を知るには、実態に合わせた処理をしていくことが必要です。

また、決算書に載っている財産の金額は時価でないものもありますので、会社の本当の財産や債務を知るためには、実態をつかむことが必要です。実態をつかむ方法は、一つ一つ確認していくしかありません。この作業を会社を継ぐ前にしていくことにより、なぜ利益がでているのか、あるいはなぜ赤字なのかという根本的な原因にまで辿りつくことができます。

会計というと敬遠されがちですが、どんどんブレイクダウンしていき詳しい資料をみることによって、数字だけではなく事業そのものや組織の状態まで知ることができます。顧問税理士任せにせず、自ら細かい資料まで自ら見ていくことにより、継いだ後も会社のコントロールがしやすくなりますのでオススメです。

 

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実録 事業承継~継ぐべきか継がざるべきか①~

事業承継は敷かれたレールに乗っかるだけではうまくいきません。

継ぐべきか継がざるべきか、どこかでその判断をしなければ、前に進めません。

とはいえ、事業承継って一生のうちに何回もするものでもないし、どうしていいか分からないまま、「親の気持ちもわかるし…えいやっ!継いでしまえ」。

こんなお話、実は結構あります。でも実はあるんです。判断する方法。

 

後継者の学校大阪校を担当しております税理士の河合です。

実家が事業をしているけれど、今勤めている会社を辞めて継ぐべきか継がざるべきか悩まれている方、親の会社に入ったものの、実際のところ継ぐべきか継がざるべきか迷っている方。結構いらっしゃいます。本日は、そんな時どのようにその判断をするのかについてのポイントを一つお伝えします。

 

判断基準ありますか?

「継ぐべきか継がざるべきか」それは人生に関わる大きな決断です。でも、「親が困っている様子を黙って見ていられなくて」とか「小さい頃から跡継ぎとして育てられたから」という理由で、実態を知らずに代表者になってしまう方は少なくありません。

人生の一大事をそんな形で決めてしまっていいの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、後継者が感情的な部分で決めてしまうのは無理もないのです。何を基準に判断してよいか分からないのに、良いも悪いも言えません。だから、最後は「えいやっ」となってしまうのです。

判断基準?そんなのあるの?個人の判断でしょ?という声が聞こえてきそうですが、判断する基準はあります。

 

儲かってる?

言い方は悪いですが、どうせ継ぐならやっぱり儲かっている会社を継ぎたいですよね?

そこで質問です。

「継ごうかどうしようか迷っている会社ですが、本当に儲かっていますか?」

こう尋ねると、

「実は決算書を見たことが無いんです。」

とおっしゃる方が結構いらっしゃいます。

儲かっているか儲かっていないか、借金がいくらあって、現預金がいくらあるか、知らないのに継ぐか継がないか判断できますか?

そうです。できませんよね?ですから決算書を見ることは、判断のための第一歩といえます。

では、決算書等は見たことある場合、もう一つ質問です。

「なぜ儲かっている(いない)のですか?」

この質問に答えられる方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?決算書は外部に報告すべき事項がまとめられているものです。見るべきポイントはいくつかありますが、それはあくまで取引相手として、例えば銀行や仕入先がこの会社と取引して大丈夫だろうかと見るためのポイントです。

では、事業を継ぐか継がないかを判断するためには何をどのように見るのでしょうか?

その内容については次回!

 

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実録 事業承継~後継者が決して忘れてはいけないこと③

後継者の学校パートナーの河合由紀子です。

前回は、後継者はどんな存在なのか、また、後継者が存在する意味について考えてみました。後継者はその存在だけで会社の未来を明るくします。しかし、後継者が忘れてはならない大切なことを忘れてしまい、間違った考え方に陥ってしまうとどうなるでしょう。本日は、後継者が決して忘れてはいけない大切なことについてお伝えしたいと思います。

 

後継者の学校大阪校を担当しております税理士の河合です。

このブログでは、私自身の事業承継の経験を踏まえ、またお客様の事業承継の現場からより具体的なお話をご紹介していきますので、よろしくお願いいたします。

本日は、前回に引き続き後継者が事業を承継していく際に、決して忘れてはいけないことについて書かせていただきます。

 

忘れていた大切なこと

ある後継者が陥った間違いについて、前回書かせていただきました。後継者が「社長のやり方は古くて時代遅れだ」と感じることはよくある話です。これは当然といってもいいかもしれません。違和感を持つことは悪いことではありません。ただ、後継者は既に形になっている生きた事業を引き継ぐと言う意味で、明らかにゼロから創業する場合と異なります。

従業員がいて得意先や仕入先、金融機関などの取引先があり、お金が回り、商売が成り立っているのです。それを引き継ぐという立場にある後継者は、確かにその存在自体素晴らしいものですが、すでに目の前に引き継ぐことのできる会社が存在することも素晴らしいことなのです。だから、引き継ぐ会社がどのようにして成り立ってきたかを知り、そして、まずはこれまで会社を支えてきてくれた人々に『感謝すること』が最も大切なことなのです。

 

感謝が大切な理由

従来のやり方に違和感を覚え、改革しなければ我が社は生き残れないと必死になる後継者は多いです。引き継ぐ会社の事を愛し、危機感を感じ、みんなが幸せになるためにと頑張っているのに、オヤジからは反対され、古参の社員からは疎まれ、重要な人物が退職し、と様々な障壁にぶつかるという事態に、悩み苦しんでいる後継者の方によくお会いします。

こういった方は、真面目で優秀な方が多いです。しかし、目の前の問題をどうにかしようと思うあまり、これまでの歴史、なぜ引き継ぐことのできる会社があるのかを真剣に考えたことがない、あるいは気にしていない方が多いように感じます(実は私もその一人でした。)。口先では感謝していると言うものの、心底感謝しているかというと、感謝しきれていないのです。

「なんでこんな状態になるまで放っておいたんだ。」「企業とは名ばかりの個人事業の延長じゃないか。」心のどこかで先代や古参の社員がやってきたことを否定してしまう自分がいて、それが普段の言動に反映されてしまうのです。しかし、逆の立場だったらどうでしょうか。これまで一生懸命やってきたことを否定されて、後から入ってきた後継者のやり方に右へならえと賛同する気になるでしょうか?

もう一度言います。まずは『感謝』です。協力を得るには、後継者が感謝の気持ちをもつこと!これが、後継者が決して忘れてはいけないことなのです。時には腹も立つでしょう。思い通りにいかず、「頑固おやじ!」「石頭!」と思う時もあるでしょう。でも、引き継ぐことができるものを残してくれたことには、感謝しても余りあるのではないでしょうか。ついつい、分かっていても忘れてしまう、当たり前だけれどなかなかできないことかもしれません。普段から、これまでがあるから今があり未来があるという思いを持って、感謝できるところを意識して探すのも心の鍛錬に良いかもしれません。

 

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実録 事業承継~後継者が決して忘れてはいけないこと②~

前回、なぜ後継者が受け身になってしまうのか、その理由の一つをお伝えしました。他にも大きな理由がありますが、それは後継者の学校で…ということにしまして、今回は受け身になってしまいがちな後継者ですが、後継者はどんな存在なのか、後継者が存在する意味について考えてみました。

 

後継者の学校大阪校を担当しております税理士の河合です。

このブログでは、私自身の事業承継の経験を踏まえ、またお客様の事業承継の現場からより具体的なお話をご紹介していきますので、よろしくお願いいたします。

本日は後継者が事業を承継していく際に、決して忘れてはいけないことについて書かせていただきます。

 

後継者はどんな存在ですか?

残念ですが、「後継者?『ぼんぼん』やね。」と言われる方は多いです。

それは、後継者に主体性が無いように見え、お人よしで苦労知らずという印象から言われるのでしょう。でも、そうなってしまう理由があることは前回お伝えしました。

ここで、まず後継者の存在について考えてみましょう。「後継者がいる」のと「後継者がいない」のとで現在の事業の可能性や広がりは感覚的にどうでしょうか?どちらの方が、様々な事柄に関して長期的な視点で意思決定することができるでしょうか?もちろん「後継者がいる」方が長期的な視点で現在の意思決定をすることができますよね。

そうです。後継者はその存在だけで会社の可能性を広げることができるのです。もちろん、経営者となるには様々な知識を身につけなければなりません。知識だけではなく、人として成長しなければならないでしょう。その前に、経営者になる決意と覚悟も大切です。ただ、間違いないのは、後継者の存在自体が、会社の将来を明るくするということです。

 

ある後継者が陥った間違い

後継者の存在自体、会社にとって素晴らしいことですが、後継者は経営者になっていく存在であるということを忘れてはいけません。当たり前の話に、そんなことを忘れるなんてあり得ないだろうと思われるかもしれません。しかし、主体性のないままに、後継者の立場でいると実は勘違いした行動をとってしまうことがあるのです。

ある後継者の方が、父親である社長に不満を持っていました。「やり方が古い、時代遅れだ。」「自分が経営したらもっとこうするのに。」そんな思いから、勝手な行動をすることも度々ありました。社長は意見の衝突はあるけれど、これから先を託していく息子になんとか成長してもらいたいという気持ちで、ある程度のことは大目に見ていました。後継者である息子の行動は段々エスカレートしていき、とうとう独立するとまで言い出しました。社員は動揺するし、業務は滞るしで大変です。

独立すること自体悪いことではありません。市場の変化によりこれまでの事業が上手くいっていないこともあるでしょう。先のことを考えると、父親の事業をソフトランディングさせるために、後継者が別の事業を立ち上げておくということも、事業承継の戦略の一つです。

ただ、この後継者は後継者として最も大切な、「忘れてはいけないこと」に気づいていませんでした。だから、様々な問題を巻き起こしてしまうことになってしまったのです。

この「忘れてはいけないこと」については次回をお楽しみに。

 

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実録 事業承継~後継者が決して忘れてはいけないこと①~

事業承継ってどんなイメージをもたれるでしょうか?お坊ちゃんお嬢ちゃんが、先代がひいてくれたレールの上に乗っかって、主体性のないままボーっとしていても社長になれること。なんて思われている場合も少なくありません。そして、実際にそんなつもりはなくても後継者は受け身に、厳しい言い方をすれば他責になりがちです。だからこそ決して忘れてはいけないことがあります。まず今回は、なぜ後継者が受け身になってしまうのか、その理由の一つをお伝えします。

後継者の学校大阪校を担当しております税理士の河合です。

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本日は後継者が事業を承継していく際に、決して忘れてはいけないことについて書かせていただきます。

 

後継者は受け身

みなさん、「後継者」という言葉を聞かれた際にどのような印象を受けられますか?ハングリーなところが少ない、ぼんぼん(関西弁で「お坊ちゃん」ということです)、いろんなことが分かっていない、努力しなくても良い、などなどマイナスイメージの言葉が結構出てくるかもしれません。確かに育った環境は恵まれていたかもしれません。それに、割と「人がいい」言い換えれば「お人よし」なところもあるかもしれません。だからどこか頼りなく、しっかりしていない。関西弁で言う「ぼんぼん」にはそういった意味合いも含まれているようです。

しかし、考えてみてください。好きで社長の息子に生まれたわけではありません。好きで良い環境で育ったわけではありません。生きていくのにそんなに苦労をしていないから、結果としてお人よしになってしまった(お人よしが悪いというわけではありませんが。)のも仕方がないのかもしれません。それで周りからは「ぼんぼん」と呼ばれる。ある意味仕方ないのかなと思いながらも、どこか反発心を持っているのが後継者です。

いや、そんなの贅沢だ!自分の立場をラッキーだと思うべきだ!と思われたでしょうか?それとも、わかるわかる、その通りと思われたでしょうか?いずれにしても、後継者は人から見れば主体性がなく受け身な状態になっているのです。

 

後継者が受け身になる理由

なぜ後継者は受け身の状態になってしまうのでしょうか?その原因の一つは後継者の入社時の考え方にあります。

どんな職業に就いている方でも、人生のどこかでその職業を選択するという決断をします。生まれながらにして特定の職業に就かなければならないと決められている人は、ほとんどいません。ということは、人生のどこかで、何をして生きていくかを決定するときがあるのです。

例えば就職活動を想像してください。どの業界を選ぼうか、業界を選べばどの会社にしようか、と考えます。そしてその会社に就職した場合の自分の人生を思い描きます。このようにして、自ら決めるというプロセスを経て仕事を始め、転職を考えたり出世を考えたりし続けます。

しかし、後継者はほとんどの場合が「親の仕事だから」とか「なんとなく当たり前だと思っていた」という理由で入社しています。つまり、自分自身の将来や本当にやりたいことを考えずに進んでしまっている場合が多いのです。これが、後継者が受け身になってしまう理由の一つです。

 

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実録 事業承継~株の事知っていますか?⑤~

後継者の学校パートナーの河合由紀子です。

前回は、なぜ経営者主体の株式移転になってしまうのか、また移転するときの経営者の気持ちについてお伝えしました。今回は、前回の内容も踏まえて、株式の移転はどのような考え方に基づき進めればよいかについてお伝えしたいと思います。

 

後継者の学校大阪校を担当しております税理士の河合です。

このブログでは私自身の事業承継の経験を踏まえ、またお客様の事業承継の現場からより具体的なお話をご紹介していきますので、よろしくお願いいたします。

本日も、引き続き株の移転のお話です。前回は、現経営者主導で、早々に後継者に株式を移転してしまう理由と、その時の経営者の気持ちについてお伝えしました。今回は、そういった事情を踏まえて、株式移転はどのような考え方に基づいて進めていくと上手くいくかについてお伝えしていきたいと思います。

 

後継者が自ら動く

前回書きました通り、経営者の多くは、後継者に安心して事業を任せることはできないと考えながらも、相続税の対策として仕方なく、あるいは株を渡せば息子も少しはしっかりするかもしれないという思いで株式を移しているのが実態です。

ところで、以前から書いてきましたように、事業承継の「主役は後継者!」です。なぜなら、事業を引き継ぎ、その後の会社の業績を良くするのも悪くするのも、後継者次第だからです。

では、具体的に主役になるにはどうすればいいか。後継者自ら現状を把握して、この会社を継いでどのように売り上げを伸ばし、お世話になってきた取引先を大切にしながら、社会に貢献して、どのような組織作りをして…と、自分で会社を運営していくならという将来像を描き、行動が変わってくれば、経営者はどう感じるでしょうか。少し安心できるのではないでしょうか。そうです。まず後継者が主体的に事業承継を考え、行動し始めることです。

そして、描いた未来を実現するために、後継者が株式の取得についてもしっかり戦略を練って自ら動き出す必要があるのです。後継者が主体的に事業承継を考えた時、全てが動き出すといっても過言ではありません。

ただ、実際に株式を取得していく際には、押さえるべきポイントがあります。これらを外すとかえって大変なことになってしまう場合もありますので注意が必要です。

 

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実録 事業承継~株の事知っていますか?④~

後継者の学校パートナーの河合由紀子です。

前回は、株式の現経営者主導の移転の危険性についてお伝えしました。株式の移転には、「財産」と「会社の重要事項を決定する権利」の移転という2つの意味があり、財産の面についてのみ考えると、後でとんでもないことが起こる可能性があるということをお伝えしました。今回は、なぜ株の移転が経営者主導で動いていくのか、またその時の経営者の心境についてお伝えしたいと思います。

 

後継者の学校大阪校を担当しております税理士の河合です。

このブログでは私自身の事業承継の経験を踏まえ、またお客様の事業承継の現場からより具体的なお話をご紹介していきますので、よろしくお願いいたします。

本日も、引き続き株の移転のお話です。前回は、経営者主導で、早々に後継者に株式を移転してしまった場合、どのようなリスクがあるかお伝えしました。ではリスクがあるにもかかわらず、経営者主導の株式移転が多いのはなぜでしょうか。また、株式移転の際の経営者の心境はどのようなものなのでしょうか。今回は、経営者にスポットを当ててみたいと思います。

 

経営者が考える株式移転の実態

「株はオヤジの財産のことだから、気にはなるけど何も言えないんですよね。」とおっしゃる後継者の方がたくさんいらっしゃいます。後継者だけでなく、専門家の中にも、「株は経営者がどうするか決めることだから、経営者と話をすべるきだ。」と考えていらっしゃる方が結構いらっしゃいます。

しかし、経営者が引退した後、会社の重要事項を決めていくのは、法律的には株主であり、通常それは後継者です(ここでは、株主と経営者を同一と考えます)。本当にこのような考えていいのでしょうか?

また一方で、経営者の口からよくお聞きするのは次のような言葉です。

「後継者が頼りないからまだまだ引退しない。でも、株は相続対策で後継者に譲っておく。」

この言葉、なんだか矛盾を感じませんか?

経営者はご自身が引退した後、誰に会社を任せるか、本当に頭を悩ませていらっしゃると思います。

「順当に行くと長男なんだけど、しっかりしているのは次男なんだよな。」とか、

「本当にウチの息子でやっていけるんだろうか。こんな厳しい時代に。」という声を本当によくお聞きします。

でも、いくら心配しても、後継者は経営者が思うとおりにはなりません。なぜなら、当然ですが後継者は、経営者とは生きてきた時代も違えば経験も違うからです。だから、

経営者の方はいつまでも不安を抱えて悩んでおられるのです。「すぐには息子に会社を譲ることはできない。でも相続で揉めたり、税金が高かったりして、苦労させるのもかわいそうだし。その結果会社がめちゃくちゃになっても困るし。」と、相続税のことを考えて、渋々株式の移転をしていくというのが実態ではないでしょうか。

このような流れで株式の移転をして、経営者は安心して後継者に事業をまかせられるでしょうか?

経営者が主体となる株式移転がこのような考え方に基づいているのは、構造上仕方のないことです。また、株を財産と捉えると後継者から話を進めにくいのも当然です。では、どのように株式移転のプロセスを考えれば、みんながハッピーになれるのでしょうか?次回はその内容についてお伝えしていきます。

 

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