東の空に見える明け方の光

後継者の学校パートナー中小企業診断士の岡部眞明です。

今日は、ちょっと格調高く(?)万葉の歌人柿本人麻呂の句から始めましょう。

東(ひんがし)のかぎろひのたつ見えてかえり見すれば月かたぶきぬ

「かぎろひ」を、ネットで調べてみると「東の空に見える明け方の光。曙光(しよこう)」

とあります。

これを現代的に、直訳すると、

「夜明け時、明け方の東の空を見ると太陽が昇る光がさしているのが見える。振り返って、西の空をみると、満月の月がまさに沈もうとしている。」

とでもなるのでしょうか。

大宇宙の大きな営みを詠んだこの歌からは、朝の澄み切った空気を胸いっぱいに吸って大地を踏みしめ、これから始まる新しい一日に向かっていく、人麻呂の気概が感じられます。

人麻呂の生きた飛鳥時代は、聖徳太子が「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子にいたす。つつがなきや。」と、隋の皇帝に送り、冊封体制からの離脱を表明したことは昔習いましたよね。この頃から、我が国は「日本」となります。

聖徳太子が、大国「隋」の皇帝に自分も同じ「天子」であることを表明することは、とても勇気のいることだったのではないでしょうか。でもそのおかげで、現代まで続く独立の基礎をつくり上げることができたのです。

人麻呂は、聖徳太子より100年ほど後の人のようですが、人麻呂をはじめとする万葉の歌人たちは、和歌という日本文化の基礎を創りました。

この時代の人々が、日本の基礎を創ってくれました。そのおかげで、今の私たちの生活があるわけです。

昔に生きた人々の、時代を超えた視野や天地の感謝する心を一つひとつ積み重ねて、一つの国の生活や文化がはぐくまれてきたのです。

私たち一人ひとりの祖先も確実に飛鳥時代に生きていましたし、その後の時代もずーっと暮らしてきてくれたので、今の私たち一人ひとりの今の生活があるわけです。

そう思うと、人麻呂も聖徳太子も、信長も、秀吉も、家康も、うちの頑固な先代社長もいとおしくなりませんか?

ずーっと、紡いできてくれたこの会社、やっぱり、きちんと渡していかないと。

まさかと思うかもしれませんが、飛鳥時代から続いている企業を含めて、日本には1000以上続いている企業が14社もあるそうです。100年以上続いている企業は26,000社もあります。

「自分の会社ももちろんずーっと続いてほしい、いや、続いて行ってもらわないと…。」と、皆さんお考えでしょう。長く続いてきた会社には、間違いなく代々続く家訓や社是が伝わり、その成功のDNAを脈々と伝え続けています。

会社は、その時々の景気や社会の影響を大きく受け、その業績までも転換しなければならない場合もあるかもしれません。

そんなとき、社員の心を一つにするものが、家訓や社是といわれるものです。

宇宙に思いをはせる人麻呂や時代を見通す聖徳太子のように、空間と時間を大きくとらえて、従業員や家族、先代や会社の今後を考える。

たまには、早起きして朝の空気を吸うのも良いかもしれません。

もっとも、私などは、自然に早起きする年齢になってしまいましたが。

 

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