後継者の学校パートナーの弁護士の佐藤祐介です。
事業承継をすれば,後継者は必ずと言っていいほど労務管理という場面に直面します。そこで,その労務管理をするにあたり深い関わりをもつ労働法について,ざっくりと解説します。今回のテーマは残業代です。
第1 はじめに
後継者の学校パートナーの弁護士の佐藤祐介です。
今回は,労働法の「残業代」について,ざっくりとお話させていただきます。まずは次のケースをご覧ください。
<ケース>
Aさんは,ある部品を製造する会社の二代目社長として,先月,先代社長の父から事業を承継しました。
そんな矢先,元従業員のXさんから,残業代の請求をされてしまいました。Xさんは,タイムカードの打刻時間に従って残業代を計算しています。
Aさんの父によれば,Xさんがそのタイムカードどおりに仕事をしているとは考えにくく,実際の労働時間はもっと少なかったとのことです。Aさんの会社はこの請求に応じなければならないのでしょうか。
第2 タイムカードの打刻時間=従業員の労働時間?
本件のAさんの会社のように,従業員の労働時間をタイムカードで管理している場合,タイムカードの打刻時間=従業員の労働時間と事実上推定される可能があります。
そうすると,仮にAさんの父親の言い分が真実だった場合,このままでは,Aさん側が,Xさんに対し,不本意な残業代を支払わなければならないことになります。
そこで,Aさん側は,反論をしていかなければならないことになります。
第3 Aさん側にはどんな反論が考えられるか
タイムカードにはそのように打刻されているけれども,その打刻部分は,労働時間とは言えないという反論が考えられます。
この「労働時間とは言えない」という反論は,法的に言えば,「その残業が会社の指揮命令に基づくものではない」ということになります。
そこで,Aさん側としては,これまでXさんに対し「残業しなさい」と言ったことはないという反論を証拠とともにしていくことになります。
この点は,専門家の方とともに検討することをお勧めします。
第4 最後に
今回は,残業代の中から,よく問題となるケースを取り上げてみました。
このような問題を解決するために,そして,このような問題が生じないために,経営者,そしてその後継者となる方々にとって,この記事が1つのきっかけなれば幸いです。
なお,後継者の学校では,各パートナーが後継者となる方々に,無償で「後継者インタビュー」というものを行っています。
(詳しくはhttp://school-k.jp/interview/ をご覧ください。)。
後継者の方々にとって「気づき」の場面となるとして,これまでに多くの方々から好評を得てきました。
今回の私の記事のような法律問題に限らず,自社と向き合うきっかけになるかもしれません。興味が湧いた方は,お気軽にインタビューを受けてみてください。
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