貸借対照表には、会社の資産や負債の状況が載っています。
経営を行うにあたっては、貸借対照表の内容を把握しておくことが、とても重要になってきます。
今回は、貸借対照表に載っている項目の読み方ついて解説したいと思います。
後継者の学校パートナーで、公認会計士・税理士・中小企業診断士の福岡です。
前回は損益計算書についてお話ししましたので、今回は貸借対照表についてお話ししていきたいと思います。
貸借対照表は、損益計算書に比べてわかりにくいので軽視されがちですが、貸借対照表にはとても大事な情報が多く載っているので、私たち専門家はとても重要視しています。
貸借対照表の内容を把握しておくことは、後継者が事業承継するにあたって非常に大事なことですので、前回と同様に是非、可能であれば会社の決算書を片手にお読みください。
貸借対照表には、資産と負債の状況が記載されています。
貸借対照表は、大きく資産の部、負債の部、純資産の部の3つに分けることができます。
資産の部には、会社が保有している財産が載っており、負債の部には、会社が負っている債務が載っています。
また、純資産の部には、資産の部の合計額から負債の部の合計額を差し引いた金額が載っています。
それでは、資産の部の中身を見ていきましょう。
資産の部には、預金、売掛金、固定資産など、会社が保有している様々な資産が載っています。
みなさんの会社の貸借対照表には、どのような項目が載っているでしょうか?
資産なので、これらの金額が大きければ大きいほどいいと思われがちですが、実はそうでもないのです。
例えば、預金はゼロに等しいにもかかわらず、利用価値のない土地が多額に載っていたらどうでしょうか?
これでは会社が何か活動しようとしても、原資がないので身動きのとれない状況になってしまっています。
あるいは、預金がないので倒産寸前かもしれません。
つまり、会社は将来の事業を行っていくために必要な資産をバランスよく持っていることが大切なのです。
次に負債の部です。負債の部には、買掛金、未払金、借入金等の負債が載っています。
負債は、ゼロにするのが理想の状態でしょうか?
負債というとマイナスのイメージがありますが、例えば将来有望と見込まれる事業があり、それに投資するために借入をするとしたらどうでしょうか?
自社のお金だけではできない事業を、銀行等の力を借りて行うのです。
借入をして新しい事業に投資し、今まで以上の収益を上げられるとしたら、その借入はいい借入かもしれません。
つまり、負債もゼロにすることがいい訳ではなく、やはり事業の状況とのバランスが大切になってくるのです。
純資産の部は、その名の通り会社の実質的な資産が載っていることから、この金額が大きければ大きいほど、対外的な信用も得られやすくなるのです。
純資産の部は、毎年、利益を積み重ねていくことで大きくなっていきます。
したがって、ご自身の会社の純資産の部を見て金額が多額になっていれば、過去にコツコツと利益を蓄積してきた会社であることが推測できるのです。
(※ それ以外にも純資産の部の増加要因はありますが。)
貸借対照表は、木の年輪と同じと言われることがあります。年輪を見ることで、その木がどのように生長してきたか読み取ることができるのと同じように、貸借対照表に計上されている資産や負債を見れば、その会社がどのような歴史を経て今の資産、負債の状況になってきたのか、推測することができます。
また、現在保有している資産や負債の状況を表しているので、現在持っている資産等を生かして、今後、どのように経営を行っていくか、といった検討も可能になります。
どのような状態の貸借対照表が望ましいかは、その会社の事業の状況によって異なるので一概に言うことはできません。
ただし、一般的には、①流動比率、②当座比率、③自己資本比率等の指標を見て、状況の善し悪しを判断することとされていますので、参考にして頂ければと思います。
このように貸借対照表は、過去の会社の状況を把握することもできるとともに、将来行う事業を検討するためにも大事なものとなりますので、事業承継をするにあたって、後継者は必ず見ておきたいものです。
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