samurai

歴史に学ぶ後継者経営 ブレーンの効用

私主に日本の歴史から後継者経営に学べる題材をとって、皆さんと一緒に後継者経営とは、を考えて参りたいと思います。その第二回目は、江戸時代のブレーンについて、その効用とは。

 

後継者の皆様

 

後継者の学校パートナー、石橋治朗です。

 

私はこのブログを通じて、事業承継はどのようにすればうまくいくのか、後継者経営にはなにが大切なのだろうか、創業者経営とはなにが違ってくるのかについて、主として日本の歴史を題材にして皆さんと一緒に考えていきたいと思っております。

 

二回目となる今回は、徳川幕府におけるブレーンの効用について、です。

 

後継者の学校パートナーである高濱さんも書かれておられましたが、後継者にはいい相談相手がなかなか見つからないですよね。「悩みの総合商社」である後継者の方々には、その悩みを聞いてくれる相談相手が本当は必要なはずですが。

 

でも後継者だけではなく、そもそも経営者って孤独な存在ですよね。わたしはよく、経営者の方を賞賛する(要するに「ほめる」のです)のですが、皆さん本当に喜んでくださいます。考えてみれば、会社にほめてくれる社員はいませんし、いたとしたら逆に変な社員ですよね。でも、経営者は本当は、承認を人一倍求めておられるのです。そう、わかってもらえないのは、経営者も後継者も同じなのですね。たとえわかってもらえなくても、社員のために奮闘される姿に心打たれるのですが。

 

わかってもらえない、孤独な存在であることは、徳川幕府の将軍も同じでした。なにしろ、将軍は生きている限り、日本に一人しかいないのですから、これ以上の孤独な存在はありません。

しかし、徳川幕府の歴代の将軍は、その孤独を解消するための存在を自分の身近に置きました。いわゆる「ブレーン」です。

 

徳川将軍のブレーンとしては、

初代将軍 徳川家康には本多正信

3代将軍 徳川家光には堀田正盛・中根正盛

5代将軍 徳川綱吉には牧野成貞・柳沢吉保

6代将軍 徳川家宣には新井白石

9代将軍 徳川家重には大岡忠光・田沼意次

などが有名です。

 

徳川家康にとっての本多正信は、「謀臣」「軍師」のような存在ですが、家光以降はブレーンとしての性格が強くなってきます。

彼らは「老中」(首相のようなものです)のような公式な職階に就いている者もいましたが、「側用人」という将軍の意向を老中に伝える、非公式的な職階である者が多かったようです。将軍付のスタッフ、いわば秘書のような存在ですね。

出自も決して譜代の家柄からではなく、将軍の幼年時代に「小姓」(遊び友達のようなものでしょうか)に選ばれた者や、その優れた能力を見込んで将軍が自ら抜擢した者など、それほど家柄が高くはないが、能力が高く将軍との相性がいい者が優先的に選ばれました。

 

それらブレーンの主な役割は、

①    将軍の話し相手になること(悩みを聞くこと)

②    将軍の考えを老中などに伝えること

③    将軍に代わって政治を執り行うこと(もちろん、将軍の意向に沿った政治)

などでした。

 

ほとんど将軍じゃないですか(笑)

 

ブレーンが選ばれる理由は、将軍とラポール(共感)を築いて話ができること、将軍がやりたい政治を提案できること、将軍の意向を老中たちに伝えることで、将軍のやりたいことを彼らに強いることができること、です。老中に反対されることなく、将軍の意向を通せるからですね。いわゆる「申し伝える!」「上意である!」です。

いわば、将軍の独裁を強めるような弊害もあったようです。

 

ただ、このブレーン制度には、以下のような利点があると私は考えます。

 

①    将軍と相性がいいため、悩みの相談相手になれること

②    家柄にとらわれないため、能力が高い者が選ばれること

③    特定の名門が優遇されることがないので、将軍家の統治基盤のバランスを崩すことがない

④    将軍一代限りの存在であるため、将軍が替われば「切る」ことができる

⑤    たとえその政治が失敗しても、ブレーンにその罪を着せることができる(将軍に傷がつかない)

 

つまり、単に将軍の悩みを聞くだけではなく、いろいろな意味で将軍の地位を守るためにできている制度なのです。

ある意味、便利で使い捨てられる存在(田沼意次などはその代表例として有名ですね)とも言えるのですが、しかし地位の低い者でも能力が高ければ、側用人に抜擢されて存分にその力を発揮できたのです。

 

このブレーンという制度、現代の経営者や後継者にも応用できると思うんですよね。

ただし、この場合はできるだけ、社内から選んだり社外から雇ったりするのではなく、多少の費用がかかったとしても外部の専門家などを使った方がいいと思います。

 

なぜなら

①    経営者や後継者と相性のいい相手を選べること

②    能力の高い者を自由に選べること

③    外部なので、会社内の人間関係に影響を与えることがない

④    相性が悪かったり能力が低かったり、また情勢が変わって不要になれば契約解除できる

からです。

 

今は、いったん社員を雇ってしまうと、辞めてもらうのが難しい時代です。その点、外部の専門家は気に入らなければ割と簡単に契約解除できますね。こう言うとドライすぎるかもしれませんが、自分に適した相手と巡り会うのはおいそれとはいかないのが実情です。それなりに手間と時間とお金がかかりますから、ある程度割り切って考える必要があると思います。

 

わたしたち後継者の学校パートナーにも、ブレーンとして優れた方がたくさん揃っていると自負しております。

江戸時代の孤独な将軍の負担を減らすための知恵、現在にも生かしてみませんか。

 

ブログを読んで興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非後継者の学校の説明会にご参加下さい。

その前に、まず後継者インタビュー(無料)を受けてみて下さい。時間はそれほどかかりません。だいたい、30分~1時間ほどです。

事業承継に関する自身の悩みが整理され、すっきりすると好評です。お気軽にお問い合わせいただければと思います。

 

後継者の学校

http://school-k.jp/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です