司法書士の木村貴裕です。
以前「後継者に知っていて欲しい会社の登記」というタイトルで連載していた記事のある回を再掲したいと思います。
来る10月1日から会社登記の添付書類に株主リストというものが加わります。
株主名簿とは少し違うのですが、でもそれが無いと始まらないなので、その回をもう一度取り上げます。
整備していない会社は早急に対処してくださいね。
こんにちは、後継者の学校パートナー、司法書士の木村貴裕です。
株式会社の「所有」と「経営」。
会社を所有している人、これが株主で、会社を経営している人が、役員。
役員はその会社の登記内容を確認すれば良いのですが、誰が株主かを知るにはどうすれば良いのかというところで前回は終わりました。
さて、株主を知る方法ですが、、、
いわゆる中小企業で、株主を外部から知る方法はほぼありません。
身も蓋もない答えですが。
知るには会社内部の資料を見るしかありません。
では会社内部の資料とは何でしょうか。
「株主名簿」という言葉が頭に浮かんだ方が多いのではないでしょうか。
はい、正解です。
でも、満点ではありません。
「私のとこの会社に株主名簿なんてあったっけ。」
と思われた方も多いのではないでしょうか。
特に後継者や後継者候補の方には。
会社法の規定に以下のようなものがあります。
「第125条 株式会社は、株主名簿を(中略)備え置かなければならない。」
このように定められているにもかかわらず、後継者の方が感じたとおり、たぶん多くの会社は備え置かれていないのが現状ではないでしょうか。
株主名簿もきちんと作成されていない場合に、ではどうやって株主を調べましょうか。
決算書類の中に「別表二」というものがあり、それに株主名や持株などが記載されています。
しかし、これはあくまで税務申告用に作成された書類で、困ったことに正確とは言い切れないものがあります。
あとは、会社設立時の定款などの書類(設立時に作成した定款を原始定款と言います。)、過去の議事録など、保存されている書類を丹念に読み解いていく作業が必要になるかもしれません。
当初の株主は誰で、その後誰かに株が譲渡されていないかなど。
場合によっては、亡くなっていたり、全く面識もなく連絡がとれなくなっている方が含まれているかも。
会社の所有者である株主。
その重要な存在が、普段の経営では意識されず結構放ったらかしにされているのが現状かもしれません。
それでも日々は困らず、会社は回っているので。
でも、何か事が起こったときに、その放っておいたツケを払わなければならないことになるやもしれません。
それもかなり大きなツケを払うのは、事業承継する後継者が多い。
不安になった後継者や後継者候補の方、その感覚は間違っていません。
株主名簿がきちんと作成されていて、それをご自身で確認したことがあるという方以外は少し不安になって当然です。
今回は心のもやもやを煽る形で終わります。
ごめんなさい
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