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自分の時代を全うすればいい

後継者の学校パートナーの中小企業診断士岡部眞明です。

今回は、有田焼柿右衛門窯の先代(第14代)当主の言葉から後継者を考えてみたいと思います。

 

現在の柿右衛門(第15代)へのインタビューの中で、先代が柿右衛門を継いだときの話をしています。

「先代柿右衛門が、柿右衛門を襲名したときに、周りの人たちから「歴代の柿右衛門を超えるような14代になってくださいね。」といわれたのを受けてこう返したんです。「柿右衛門という大木があって、私はその枝のひとつにすぎない。大きくなる枝もあれば、そこまで大きくならない枝もある。あるいは、実のつく枝もあれば、つかない枝もあるだろう。これからどんな成長をしようとも、柿右衛門という大木はそこに生えているわけだから、あまり気負わないで、自分の時代を全うすればいい。」(柿右衛門窯第15代柿右衛門

「一人前と思ったらそこで成長は止まる」雑誌「致知」)

お父さんや親せきのおじさんあるいはお母さんから会社を継いだ後継者のかた、あるいはこれから継ごうと考えているかた、いろんな悩みを抱えていたり、会社や自分の将来を不安に思っていたりしている方が多いと思います。また、先代社長のやり方のここをこうすればもっとよくなるのにと意欲に燃えている方も、もちろん多くいらっしゃることでしょう。

悩みや不安そして意欲は、人それぞれですがすべての人が、その人の人生を生きていくあらゆる場面で持つ心の状態であり、なおかつ、悩み、不安、意欲そのどれもが必要なことです。

悩みや不安がなければ、もしもの事態に備えることができませんし、意欲や希望がなければ未来への歩みへ踏み出すことができません。

特に経営者となって会社を預かることになると、その悩みや不安はより深くなるでしょうし、会社をより発展させようと意欲も満ち溢れてくることでしょう。

そんな時、この言葉を思い出してください。

「歴史ある会社はとても大切で、経営者としての責任に押し潰されそうになりながらも、必死に頑張るあなた。でも、自分は自分でしかないし、できることしかできない。社長としてできる限りのことはするけれど、結果は思うにまかせないこともある。ひとつひとつの出来事に一喜一憂せずに、社長の職責を全うすればいいんだ。」と言っています。

勿論、この対談のタイトルからお分かりいただけるように、不断の努力という前提がありますが、その結果は天のみぞ知るという潔さも常に持っていたい経営者の力だと思います。

それに、気持ちが楽になりますしね。

後継者の学校は、それぞれの人生に注目します。