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刑事弁護をやっていて感じること

弁護士業務の1つとして,刑事事件という分野があります。今回は,それを通して,日々の生活だけでなく,事業承継でも大切なことだと思いましたので,ブログの記事にしました。

後継者の学校パートナーで弁護士の佐藤祐介です。

今季,「99.9」というタイトルで,テレビドラマが放送されます。何でも刑事事件を専門的に取り扱う弁護士を題材にしているとか。私はあまりドラマを見ない派なのですが,これにはちょっと興味を惹かれています。

弁護士の仕事のジャンルは,おおまかに分けると,民事事件と刑事事件があり,この「99.9」は,後者,すなわち刑事事件にスポットを当てています。なお,民事事件は,お金を返して欲しいや離婚したいといったものであるのに対して,刑事事件は,犯罪を行ったとされる人をサポートするというものです。

 

さて,この刑事事件において,弁護士はどのような活動をするのかというと,必ずしも無罪を主張するというだけではありません。罪を犯したこと(例えば,駅で酔っ払って人を殴ってしまったり,万引きをしてしまったり,覚せい剤を使ってしまったり。)を前提に,刑罰を軽くして欲しいという主張をすることもあり,刑事事件においては,むしろこっちの方が多いです(いわゆる「情状弁護」といいます。)。

この情状弁護の具体的内容ですが,典型的な内容は,示談や証人の方にお願いをして裁判の際に証言台に立ってもらうことです。妻や親だけでなく,友人や就業先の上司等が罪を犯してしまった人の更生と社会復帰を信じて,全力で協力してくれるのです。そして,このような周囲の方々のサポートに触れ,罪を犯してしまった人は,初めて身近な方々の有り難さや優しさを実感する,といったことも珍しくありません。

 

このような業務を通じて感じることは,私もそうですが,普段身近にあるものの有り難さなどは,しっかり向き合う時間がなければ,なかなか感じにくいということです。

これは事業承継において,後継者の方が,自己や自社と向き合う際も同じではないかと思います。自己・自社がどんな立場でどんな環境にあるかを考えることは,事業承継をするか否かの意思決定をするにあたり大切なことですが,一朝一夕でできるものではありません。早すぎるということはありませんので,このような向きあう時間を意識的に作ると良いかと思います。

 

なお,後継者の学校では,後継者の方が自己や自社と向き合うためのお手伝いをさせていただいております。興味のある方は,お気軽にHPをご覧いただいたり,各パートナーにお声がけいただければと思います。

また,後継者の学校では,各パートナーが後継者となる又は今後なるかもしれない方々に,無償で「後継者インタビュー」というものを行っています。

(詳しくはhttp://school-k.jp/interview/ をご覧ください。)。

後継者の方々にとって「気づき」の場面となるとして,これまでに多くの方々から好評をいただきました。こちらも興味が湧いた方は,お気軽にインタビューをご検討ください。

後継者のためのワンポイント労働法②〜懲戒処分〜

後継者の学校パートナーの佐藤祐介です。

事業承継をすれば,後継者は必ずと言っていいほど労務管理という場面に直面します。そこで,その労務管理をするにあたり深い関わりをもつ労働法について,ざっくりと解説します。今回のテーマは懲戒処分です。

第1 はじめに

後継者の学校パートナーの弁護士の佐藤祐介です。

今回は,労働法の「懲戒処分」について,ざっくりとお話させていただきます。前回に引き続き,まずは次のケースをご覧ください。なお,下記登場人物は株式会社後継者の学校とは関係ありません。念のため。

<ケース>

大川原さんは,後継車の高校という会社(もはや何の会社かわからなくなってしまいました・・・)の社長です。そんなある日,部下の児玉さんが,大川原さんのもとへやってきました。

児玉:社長!佐藤がまた社内でトラブルを起こしましたよ・・・さっき,始末書を書かせたところです。処分はどうしますか?

大川原:そうだなぁ・・・懲りないやつだから,給料を下げるのも止むを得ないかもなぁ・・・

第2 上記事例を見てどう思いましたか?

上記ケースのようなやり取りは,程度に差はあれ,よくある話かと思います。ですが,この事例において,大川原さんが懲戒処分として減給を行うことには問題があります。というか,問題ばかりです。

会社の秩序維持のため,懲戒権を行使するか否か,経営者として判断を迫られる場面もあります。できればそんな場面に直面しない方が良いですが,いざという時のために問題意識を知っておくことは,後に裁判で争われないためにも有意義です。

 

第3 上記事例の問題点は?

さて,それでは上記事例の問題点をざっくり挙げていきます。

・佐藤の起こしたトラブルは具体的にどのようなものだったのか,確認できているのか。

・そもそも就業規則に懲戒処分の根拠は記載されているのか。

・そもそも始末書を書かせること自体が譴責として,懲戒処分ではないのか。

・減給は,懲戒処分としてバランスを失しないのか

・佐藤の言い分は聞いたのか。

ざっと挙げるとこんな感じでしょうか。これらが具体的にどのような法的問題を持っているのかは省略しますが,単純な事例1つをとってみても,こんなに問題があるんだというのがお分かりいただけたかと思います。

 

第4 まとめ

今回は,懲戒処分にスポットをあててみました。頻繁に懲戒権を行使することはないかもしれませんが,いざという時のために上記問題意識をもっておくことは後のトラブルを回避するために必要かと思います。

なお,最後に,私の関わっている後継者の学校における活動の1つを紹介させてください。

後継者の学校では,各パートナーが後継者となる又は今後なるかもしれない方々に,無償で「後継者インタビュー」というものを行っています。

(詳しくはhttp://school-k.jp/interview/ をご覧ください。)。

後継者の方々にとって「気づき」の場面となるとして,これまでに多くの方々から好評を得てきました。

興味が湧いた方は,お気軽にインタビューを受けてみてください。自社と向き合う良いきっかけになるかもしれません。

 

後継者の学校
http://school-k.jp/
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