イギリスの国民投票から考えたこと

後継者の学校パートナー、中小企業診断士の岡部眞明です。

6月23日に行われたイギリスの国民投票の結果に世界は揺れています。EU離脱か残留かを問われた投票に出したイギリス国民の答えは、「離脱」でした。

この選択が明らかになった途端に、各国の株価は大きく値下がりし、ポンドやユーロだけでなくドルも値下がりというより、比較的安全な通貨といわれる円に資金が集まり、円高も一気に進みました。世界経済に与える影響は大きく、また、長引きそうです。当のイギリスでは、再投票を求めるネット署名が300万件以上になったそうで、残留派指導者の責任論が噴出したり、主張が現実化した離脱派の方は早くも公約を修正に走るなど、イギリスの混乱は続きます。

得票結果は、離脱が1,741万票(51.9%)、残留が1,614万票(48.1%)と127万票(3.8%)とほぼ拮抗しています。評価によっては引き分けともいえるイギリス国民が下した判断をきっかけに、イギリス国内が混乱するのは仕方がないとしても、EUはもちろん世界経済に甚大な影響を及ぼすことになってしまいました。

離脱の理由は、大英帝国のプライド、移民問題、治安問題などいろいろあると思いますが、一方で、残留する場合に得られるメリットも大きく、イギリスの混乱も、投票の時には考慮しなかった問題に改めて気づいたことによるのではないでしょうか。この結果から私たちは何を学ぶべきなのでしょうか。私たちは、よく間違うということだと思います。

ですから、世の中のことを総合的に判断できる人を選挙で選び、選ばれた人に国や地方の運営をお願いする間接民主主義という仕組みに意味があるわけです。

国民投票という民主的な手段で国の選ぶべき政策を決めることは悪いことではないと思いますが、ソクラテスへの死刑求刑やローマの「パンとサーカス」に象徴されるように、ギリシャ、ローマの昔から大衆(=私たち)はしばしば愚かな側面を表してしまうということを知っておくことは必要なのではないでしょうか。

グループシンクという言葉があります。集団極性化現象ともいわれ、集団行動後に現れる集団の反応の平均が個人の反応の平均より極端に表れることとされますが、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」といった方がわかり易いでしょうか。集団による意思決定が正常に機能しない現象をいいます。

フォルクスワーゲンに始まり、外国のお話と思っていた企業の不祥事は、三菱自動車、マンションの基礎杭、東芝の粉飾決算などなど、もういちいちコメントする気にもならないくらいに次々起こる事件も、このグループシンクが正常な判断を阻害した結果と言えると思います。

このグループシンクは、組織の凝集性の高い、結束力の強い組織に起こりやすいといわれています。凝集性の強いことは、目標に向かう力が強いわけですから組織の効率としては良いことではあります。

しかし、組織の構成員の行動は、残念ながらしばしば間違うという事実をリーダーは予定した組織運営を行わなければなりません。キャメロン首相の失敗は、ある意味民主主義の基本概念である、大衆行動へ指導者の対応だったのではないでしょうか。

民主主義の発展と教育制度の充実が期を一にしたように、リーダーは、自らが考え行動できる人、すなわち組織の凝集性に引きずられることのない人が育つような組織、学習する組織を作ることも大きな責任です。

「凝集性が強く、そして組織の凝集性にとらわれない人がいる組織」この論理矛盾を目指すなんて、なんか楽しそうではありませんか。

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